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ナローバンドの組込み・星像の歪み

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光害地では L 画像を撮影するのは無理だろう、 L は RGB から取り出した抽出 L と、 Ha・ OIII を合成して作ろうと思いました。 Ha と OIII は、それぞれ Rと G・ B に NBRGBCombination で組込んで、RGBを補強します。まだ始めたばかりですが、この方法は大変効果があることが分かりました。なお、フィルターホイールは5枚しか入らないものにしましたので(軽量化のため)、SIIは省略です。 燃える木と馬頭星雲 まずは、燃える木と馬頭星雲です。 71FL +レデューサー、 ZWO ASI 183MM で、 Ha と OIII がそれぞれ約 100 分、 RGB がそれぞれ約 70 分、合計でおよそ 410 分です。赤を強調してみました。 ただし、 OIII を G と B に組み込むと、馬頭星雲の背景が赤になりませんでしたので、 Ha を R に入れただけです( OIII は L 画像の一部として使っただけ)。パラメーターを変えて、これからいろいろ試してみようと思います。また、アルニタクの周りにハローが出ています。これは G・B・ OIII から来ているのですが、自然なものなのでしょうか?それともフィルターが良くないのでしょうか? かもめ星雲 かもめ星雲も、撮影時間はほぼ同じです。ただし、 OIII を GB に組み込んでも不自然にはなりませんでした。逆にHaだけでOIIIを入れないと、赤がきつくなりすぎました。これまでOSCカメラ(294MC)で何度も撮ったものですがうまくいかず、今回始めてうまく捉えられました。モノクロカメラによるナローバンドとRGBの組み合わせは、光害地で大変有効だと思います。 しかし、目立たないようにクロップしていますが、左上(北西側)の星像が流れています。 星像の流れ 前回モンキー星雲を撮影したときは、周囲まで星像が丸くなり、これで万全と思ったものです。 PixInsight の eccentricity 図も、私としては満足できるものでした(これは、HaとOIIIのHOO合成です)。 しかし、「燃える木と馬頭星雲」「かもめ星雲」ともに左上の星が、 -60 度位に傾斜しており、 eccentricity が 0.6 を越えてしまいます。   これは、 71FL

フラット補正の失敗と原因

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フラット補正がうまくいかず、チリ跡がドーナツ状に残ってしまいました。今回は、空が格別に明るかったこと、フラット撮影のライト撮影の間が空いていたこと、フラットダークを事前に撮りためた、従ってフラットの撮影時間と完全に一致しないもとを使うなど、これまでと状況が違っていました。 症状 12 月 1 日は月齢 15.9 でしたが、ナローバンドならいけるだろうと、月のそばの燃える木と馬頭星雲を Ha で撮影しました。 71FL +フラットナー+ ASI 183MM 、 Ha 、 3 分 X23 枚です。 一見すると問題なさそうですが、強くストレッチを掛けると次のようにドーナツがいくつも現れます。特に右上が目立ちますが、中央から左の下には、いくつものドーナツのかけらがあります。中央部と右にも薄く見えています。 これは当然ながら、フラット画像に対応しています。次も強くストレッチしたフラットです。周辺減光とチリの内部は補正されているのですが、チリの周辺部のみがドーナツ状に残っています。 フィルターホイールの回転方向か 以前にもたまにこのような現象がありましたが、毎回ではないので、あきらめていました。今回しっかりと原因を探ってみました。撮影スケジュールは次の通りです。空が明るいので、撮影時間は3分と短くしました。 ① 18:55       プレアデス星団 Ha 3 分 12 枚(ベランダのひさしに掛かる) ② 20:01       Ha フラット  3.05 秒  35 枚 ③ 20:04       OIII フラット  4.31 秒  35 枚 ④ 21:15       燃える木と馬頭星雲 Ha 3 分 24 枚 ⑤ 22:30       燃える木と馬頭星雲 OIII 3 分 12 枚(雲が出てくる) これまでは、毎回ライトを撮影後にフラットを撮っていましたが、最後まで撮影に付き合わなければならず、面倒でした。その後、フィルターを変えてもフォーカスが変わらないことに気づき(全て ZWO 製のためか)、最初にまとめて撮影し、後は NINA のシーケンスに導入、プレートソルブ、ガイド開始を任せ、朝まで寝てしまおうというのが当初のプランでした。 そのため、フラットとライトの撮影の間に、フィルターの移動が入ります。そうするとこの失敗は、フィルターホ

PrecisePartsのアダプター

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注文していた PreciseParts のアダプターが本日届きましたので、取り急ぎご報告します。先月注文した時点で、今月 19 日に出荷することが決まっており、そのとおりに発送されました。アメリカとの航空便が制限されているこの時期にも関わらず、早く届きました。 もし合わなければ無料で交換する旨の手紙が入っています。実際、交換してもらった人がいるようです。 このアダプターは、次の機材を置き換えるものですので、光路長が 28.3mm 、対物側がM 49.8 P 0.75 メス、 接眼側が T マウントのオスになります。 ・ Borg カメラマウント キヤノン EOS 用【 5005 】光路長 10.8mm ・ ZWO EOS-EF マウントアダプター II ・ EFW 用 光路長  17.5mm 上の EOS マウントアダプターのセットが 104g なのに対し、 47g ですので、およそ 50 g軽くなりました。がたつきがなくなるだけでなく、軽量化できるのは大きなメリットです。 鏡筒に取り付けた状態です。左側がBorgフラットナー+マウントホルダー、右側が ZWO 電動フィルターホイール mini になります。 これから使ってみますが、問題はないように思われます。

星像のまとめ・NINAの極軸合わせ

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ようやく星像が丸くなりました。私なりに分かったことをまとめておきます。次は Ha と OIII だけですが、初めて撮影したモンキーヘッド星雲です。 また、東京在住の Cuiv, The Lazy Geek さんのビデオを見て、 N.I.N.A. の極軸合わせ機能が使えるようになりました。 PHD2 のドリフトアラインメントより早く終わります。 星像を丸くするために(まとめ) ① 最も大きな悪影響は、 ZWO EOS-EF マウントアダプター II によるものでした。全く問題がない場合もありましたので、気がつくのが遅くなりました。かみ合わせが良くないと、星像が一様に流れます。現在は、強化加工をしてもらった Borg T マウントのイモネジを調整し、傾きが出ないようにしています。もう少ししたら PreciseParts の特注アダプターが届きますので、それを使うようにします。 ② 2 つ目の大きな問題は、 Borg のフランジバックでした。 Borg はフラットナーとレデューサーで異なるマウントホルダーを使うように推奨しています。  フラットナー:M 57 →M 49.8ADSS 【 7923 】(光路長0)  レデューサー:カメラマウントホルダー M 【 7000 】(光路長 5mm ) この後にカメラマウントキヤノン EOS 用【 5005 】(光路長 10.8mm )を付けます。ここからのフランジバックが 44mm であると書かれていますので、上のホルダーからのフランジバックは、 54.8mm であるはずだと思い込んでいました。 しかし、レデューサーとフラットナーでは、フランジバックが違っており、フラットナーでは、 1mm 程度長くしないといけないことが分かりました。スペーサーで毎回調整するのは面倒ですので、結局次のようにしました。  ・フラットナーの目盛りを 71FL の 400mm ではなく、 460mm 程度にする          ※これにより 4mm 程度光路長を短くする(何度か試行錯誤する)  ・カメラマウントホルダー M 【 7000 】(光路長 5mm )を使う          ※これで全体として光路長を1 mm 程度長くする ③ PPEC で RA のガイドエラーを少なくする ④ 東側のウェイトを重くして、

AZ-EQ5のPPECとGreen Swamp Server

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ようやく AZ-EQ5 で PPEC が動いたように思います。前回は EQMOD_2 でうまくいったような気がしましたが、その後何度か試してみると、効果がないどころか、どうも悪くなっていること分かりました。結局 Green Swamp Server(GS Server) で、なんとか動かせたようです。 AZ-EQ5 では、 EQMOD で PPEC が動作しないというのは本当なのかもしれません。   PPECのトレーニング GS Server のマニュアルをざっと読んで、 PPEC のトレーニングの仕方が悪かったことが分かりました。これまでは、 Cloudy Night の投稿から、 PHD2 のガイド出力をオフにしてトレーニングすると思っていましたが、ガイドしたままにしなければならないようです。 トレーニングには20分以上かかりました。上の画像は終了後に PPEC をオンにした状態です。次は、トレーニング中の PHD2 のグラフです。 全体のエラー RMS が 1.5 秒角ですので、前回の EQMOD_2 での PPEC 動作とほとんど変わりません。次が GS Server での PPEC 動作中のグラフです。 全体に乱れてはいますが、 RA の値は 1.26 秒角から 0.97 秒角へ、 0.3 秒角ほど良くなっています。ネットで調べると PPEC の効果はこのくらいのようです。 マニュアルによると、次の設定画面左の Alternate PPEC オプションが、ポイントのようです。 PPEC が動作していると、 PHD2 からのガイドパルスがランダムに削られてしまう( truncate される)不具合を修正するものだそうです。 ST4 では、信号を出す前に PPEC をオフにし、信号を出した後にオンにするのでこの問題は起きないため、 Alternate PPEC はこの動作をエミュレートしているとのことです。 前回の Cloudy Nights の投稿者もこれを検証しており、 AZ-EQ5 では、ガイドパルスが極めて小さくなっていました。 AZ-EQ5 固有の問題のようで、 SkyWatcher の他の赤道儀( EQ

星を丸くする その2

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カメラ 183MM に変更した後の、卵型の星像を解決するのに、①~④について解決策を考えてみました。引き続き⑤~⑦について検討します。 ① カメラのピクセル角度が小さくなってガイドエラーが目立つようになった ② バックフォーカスが合っていない ③ カメラと鏡筒の接続面が傾いている ④ カメラとウェイトのバランスが合っていない ⑤  PHD2 の極軸合わせがうまくいっていない           かなり適当にドリフトアライメントをやっている ⑥  AZ-EQ5 のバックラッシュが大きい           ウェイトの先端やアリミゾの部分が確かにガタガタする ⑦  AZ-EQ5 のピリオディックエラーが大きい          PEC 機能を使っていない ⑤ 極軸合わせを確認する ドリフトアラインメント後に、 PHD2 のガイド・アシスタントを実行するようにしました。ここで「極軸設定エラー」がおおむね3分角以内になるようにします。また、推奨される設定を採用するようにしました。 ⑥ AZ-EQ5 GT のバックラッシュを小さくする RA 側は、ウェイト軸の先端が数ミリ動きますし、 DEC 側はマウント部がやはりカタカタと動きます。なんとか調整してみることにしました。やはり Cloudy Nights で半日ほど検索し、次のサイトで明快に説明されていることが分かりました。 ( https://www.cloudynights.com/topic/476391-the-new-sky-watcher-az-eq5-mount-debut/page-8#entry6637832 ) この説明画像をクリックすると、ファンさんのスペイン語のサイトに行きます。 Google で日本語翻訳するとなんとか分かります。なお、ファンさんは C の 4 つのネジを緩めなくても調整できたと書いていますが、私の場合は 4 つとも緩めなければなりませんでした。これで、 RA も DEC もガタツキが完全になくなりました。なお、その後で、同じように分かりやすい動画も見つけました。 ( https://www.youtube.com/watch?v=p

星を丸くする その1

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  カメラを 183MM に変更してから、星像が流れることに気づきました。原因をネットで調べていくと、ずいぶんたくさん候補が出てきました。 ① カメラのピクセル角度が小さくなってガイドエラーが目立つようになった           183MM と 71FL フラットナーでは、 1.1 秒角/ピクセルと小さい ② バックフォーカスが合っていない           フィルターの分長くしなければならない ③ カメラと鏡筒の接続面が傾いている           フィルターホイールの分カメラ側が重くなって狂いやすくなった ④ カメラとウェイトのバランスが合っていない           東側を重くしなければならない ⑤ PHD2 の極軸合わせがうまくいっていない           かなり適当にドリフトアライメントをやっている ⑥ AZ-EQ5 のバックラッシュが大きい           ウェイトの先端やアリミゾの部分が確かにガタガタする ⑦ AZ-EQ5 のピリオディックエラーが大きい           PEC 機能を使っていない 最初に抑えておくべきことを、これまでいかにおろそかにしていたかが良く分かりました。この一月ほどやってきたことを、覚書としてまとめておきます。長くなりそうですので、その1として①から④までを取り上げます。 ① カメラのピクセル角度を大きくする 撮影時にビニングするか、ピクセルサイズの大きなカメラに替えるという手があります。確かにビニングすると、星像の流れは目立たなくなりますが、解像度は下がってしまいます。カメラを 294MM に替えるという手もありますが、お金がかかります。いずれも対症療法であり、原因の究明を投げ出すことになりますので、やらないことにします。 なお、画像処理で星を丸くすることも可能なことが分かりました。 PixInsight で Deconvolution の Motion Blur PSF を使えば、かなり丸くなります。しかし、次のような、画像の位置によって角度が異なる場合は使えませんし、すっきりしないやり方です。 294MC を使っていたときにも、星像は丸くなかったのに目立たなかったということだと思います。いい機会ですので、できるだけ原因を探って問題をつぶしていきたいと思