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ASKAR FRA400の光軸ずれ

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Borg 71FL の色収差の大きさと、 ZWO ASI 533MC の組み合わせではピクセルスケールが 2.69 と 2 を超えることから、収差が少なく焦点距離がもう少し長い鏡筒を探し、 ASKAR FRA400 にたどり着きました。しかし、大きな問題が起こりました。 周辺の星像が流れる 次はバラ星雲をキャリブレーションしないでインテグレートしただけの画像ですが、周辺部、特に左側の星像がかなり左に流れています。 スケアリングが狂っているのかもしれないと思い、 M42 延長筒の組み合わせを変えたり、チルトアジャスターを付けてレーザー光で調整したアダプターを付けたりしても、全く同じように左側が流れます。 販売店のスターベースさんに画像を送って質問すると、鏡筒の光軸ずれだろうとのことで、代理店のサイトロンジャパンさんに連絡を取ってくれました。2週間ほど経ってようやく、鏡筒本体を交換したものが送られてきました。 鏡筒を交換して星像は改善 次はミルクポット星雲の DBE 後の画像です。星像はほぼ全ての場所で丸くなっています。平均の偏心度は 0.38 とそれほどではないものの、 0.42 を超えるところはほとんどありませんでした。 左上にやや色収差が見られますが、このくらいは良しとしなければならないと思います。 温度順応が遅い ASKAR FRA400 は、その構造のためか温度順応が遅いことに気付きました。 30 分ほど外に出しておいてからピントを合わせても、 30 分単位でピントが狂っていきます。オートフォーカサーを注文しました。 これから ASKAR FRA400 と ASI 533MC を RGB 担当、タカハシ e-130D と 183MM をナローバンド担当にして、撮影時間を稼ごうと考えていますが、うまくいくかどうか・・・ タカハシ e-130D の主鏡のずれは、ゴムシートを側面に入れることで、ある程度改善されました。星像の歪みは全くなくなり、光軸はそれほどずれなくなりました。しばらくはこれでいけそうです。

オリオン大星雲のHDR処理

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オリオン大星雲を HDR 処理してみました。短時間露光の画像は Ha と R しか撮れなかったのですが、それなりには仕上がるようです。なんとか、トラペジウムがよく見ると分かる程度になっていると思います。 短時間露光は Ha と Rの 10 秒 50 枚ほどでした。そのため、 RGB は長時間露光のみにし、 L 画像だけを HDR 処理をすることにしました。長時間露光の Ha, OIII, R, G, B を単純にインテグレーションしたものと、短時間露光の Ha 、 R をインテグレーションしたものを作り、この二つで HDR 合成と HDR 変換を行いました。 HDR 変換は、 Christopher Foster さんの My PixInsight Workflow を参考にしました。 HDRMultiscaleTransform で、レイヤーが 6 と 7 の画像を作り、それと元の画像をブレンドしました。これですと、一つのレイヤーを選択する必要がなく、最終調整はブレンドの比率を変えるだけで済みます。 なお、今回はナローバンドの Ha と OIII を RGB にブレンドすると奇妙な色になったため、この方法は使えませんでした。 これから うまくいったと思ったタカハシ e-130D の主鏡押さえは、昨日の撮影では動いてしまいました。主鏡が上部の押さえゴムに当たっていたようで、星が三角になりました。 今日は主鏡の側面ネジと、主鏡側の保護金属板の間にゴムシートを入れてみました。これは T-Fixさんの 「 SE250 n + α奮闘記」ブログで言及されていて、結局効果がないとされていたものです。その代わりに保護金属板にくぼみをつける方法が紹介されていました。金属を加工する勇気はないので、ゴムシートの効果を検証してみます。

ナローバンドの組み込み

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なんとかナローバンドをブロードバンドのチャンネルに組み込もうと、 PixInsight の NB-RGB COMBINATION スクリプトを試しましが、うまく行かなかったことは、過去のブログに書きました。 そこで、 Adding Ha to Red or Luminance Data という YouTube のサイトを見つけ、そのとおりにやってみました。次は、 Ha ( 108 分)、 OIII ( 45 分)、 R ( 74 分)、 G ( 56 分)、 B ( 44 分)のデータで処理した、オリオン座の燃える木と馬頭星雲です。 時間が足りないのでノイズも多く、無理やり仕上げています。また、 SII は輝星のハローがひどく、どうにも使えませんでした。 Ha を R に、 OIII を G と B に組み込む Adding Ha to Red or Luminance Data は James Lamb さんの動画です。    https://www.youtube.com/watch?v=1Wd7VxpMCH4 Ha にある R の情報を取り除いて新しい Ha を作り、それを使って R に組み込むということのようです。計算式は難しくはないのですが、 Ha と R は、ゲインも撮影時間も異なるため、パラメーターは試行錯誤して決めるしかありません。 James Lamb さんは、 S1 と S2 という二つのパラメーターを使うように計算式を単純化しています。 Hanew はHaから R 情報を取り除いたもの、 Rnew は Hanew を組み込んだ R です。          Hanew = Ha - R * S1          Rnew = R + (Hanew - med (Hanew)) * S2          S1 = 0.25, S2 = 1 上の左がHa、右がRです。右下のPixelMathで次の Hanewが作られます 。 これでよいのかどうかはわかりませんが、これを使って上の計算式で Rnew を作ります。もともとの R (左)と Rnew (右)を比較すると、確かに Ha の効果が見

明け方近くまで撮影

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ベランダでの撮影のため、騒音を出さないように 12 時には撮影を停止して、機材を撤収していました。しかしこれでは、1日でせいぜい 3 時間ほどしか撮影できません。しかも夜中に片付けをするほうが、かえって迷惑になるのではと考え、明け方 4 時過ぎまで撮影することにしました。 夜半をすぎると空も十分暗くなり、ナローバンドでは背景ムラはほとんど目立たなくなるようです。次は3日間とも午前2時前後に撮影したかもめ星雲を、 Ha ( 147 分)、 OIII ( 84 分)、 SII ( 101 分)を使って合成したものですが、 DBE は使いませんでした。 鏡筒は e-130D 、カメラは ASI 183MM 、赤道儀は AZ-EQ5 GT です。ハッブルの SHO 合成は面倒でどうもうまくいかないので、 Cuiv さんが紹介していた Dynamic narrowband combinations with PixelMath サイトの方法を使いました。しかしまだ慣れていないのか、撮影時間が足りないのか、このままでは HOO 合成と変わらないような気がします。 N.I.N.A. の高度なシーケンサーを使う これまでは、次の単純なシーケンサーを使っていました。ナローバンドとブロードバンドの全ての撮影パターンを用意し、その中から必要な行だけをオンにしていたわけです。しかし、これでは対象を追加するたびに、いくつもの撮影パターンを作らなければならず、面倒でした。 また、これではオブジェクト指向とはいえず、使い勝手が良くありません。フィルターの変更も面倒です。そこで、高度なシーケンサーへ移行することにしました。これですと、子午線反転や星の大きさが変化したときのオートフォーカスは、グローバルトリガーとして最初に1回指定するだけで済みます。 戸惑ったのは、目標の保存です。最初は次の画像のようにフロッピーディスクアイコンでテンプレートとして保存していました。しかし、これですと目標の座標情報は保存されません。 結局その左のアイコンで、「ターゲット」として保存すれば良いことが分かりました。 高度なシーケンサー全体を、日付を

StarXTerminatorアップデート

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StarXTerminator からのメールで、 AI バージョン 6 がリリースされたことが分かりました。輝星付近のスターレス画像が「あまりにもなめらかに」なる現象を、できるだけ自然に見えるようにしたとのことです。やはりこれは問題とされたようですね。前回の画像と比較してみました。 左側が旧バージョンの AI5 、右が今回の AI6 です。 これだと分かりにくいので、中心付近を拡大してみました。前回指摘したような、左の画像の指で絵の具をこすったような不自然な「なめらかさ」が、右の画像ではなくなっています。多少周囲と違うのが分かる程度です。 すぐにアップデートしてくれることには好感が持てます。これは購入する価値があるかもしれません。

青を強調したHOO合成

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  いつも参考にしている、東京在住の Cuiv さんの YouTube を参考にして、オリオン座のモンキー星雲を処理してみました。 まだ仕上げの感覚がよくわからないので、どうも不自然になっていると思います。 青を強調する手順 これは、次のビデオを見ていただいた方が良いと思いますが、 覚書としてポイントを以下にまとめておきます。      https://www.youtube.com/watch?v=2QS2Pyhf7as&t=3s 1. EZ SoftStretch でストレッチ 2. PixelMath で RGB 結合          R: Ha          G: Ha*0.3+OIII*0.7          B: Ha*0.05+OIII*0.95 3. StarNet でスターレスとスターマスクを作る 4. Ha と OIII のスターレスも作る 5. RangeSelection で OIII のマスクを作る          プレビューと実際はかなり違うので、何度も試してみる 6. カラー画像にマスクを掛ける 7. Curves で強調する          b を下げる          c を少しいじって青を調整する          G をやや上げてみる          R をほんの少し上げてみる          S を上げる 8 . Ha のマスクも作る          OIII のマスクを外して、 Ha マスクを掛ける 9. Curves で強調する          c を上げる          RGB をわずかに調整する              S をわずかに上げる 10. 周辺減光がある場合は取り除く(フラット補正がうまくいかない場合)          ABE で degree を 2 にして、 subtraction する          DBE に周辺だけをポイントし subtraction する 11. Curves で強調する          RGB を S 字にする          S を調整する

StarNetとStarXTerminator

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PixInsightのプロセスとして組み込んでスターレス画像を作るStarNet では、輝星に格子状の模様が現れることに気づいていました。そこで、話題になっている StarXTerminator のトライアル版を試してみました。上が StarNet 、下が StarXTerminatorのダイアログボックス です。 元の画像 Borg71FL と ASI 533MC で撮影したすばるの、ストレッチした直後の画像を使いました。 スターレス画像 左が StarNet 、右が StarXTerminator の拡大画像です。 StarNet の輝星の中心に、格子状の模様があることがわかります。一方 StarXTerminator には格子模様はありませんが、よく見ると指で押し広げて消したような、不自然な跡があります。どうも騙されたようで、釈然としません。 スターマスク 左の StarNet には、やはり星の中心に格子模様があるだけでなく、星が暗くなっており不自然です。一方右の StarXTerminator は、自然な星像になっているように思えます。 スターレス+スターマスク 二つの画像に何の処理も加えないで、そのまま PixelMath で合成した、同じ場所の画像です。 どちらにも不自然な模様は見えません。ただ、右の StarXTerminator が明るく仕上がっています。海外のサイトでは、 StarXTerminator の方がノイズが多くなるという報告がありますが、このような元々ノイズの多い画像では、その違いは感じられませんでした。 なお、 StarNet のスターレス画像に強調処理を加えた後で、スターマスクを合成しても、不自然な模様は見えませんでした。しかし、 StarNet のスターレス画像と StarXTerminator のスターマスクを交差合成すると、全体にノイズがひどくなり、とても使える状態ではなくなります。 画像の別の場所で比較 左のStarNetの スターレス には格子模様、右の StarXTerminator のスターレスには、不自然な消し跡があります。 左のStarNe

AZ-GTiによる撮影とチルト(スケアリング)補正

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簡単に極軸合わせができる、 N.I.N.A. のプラグインが出来たため、眠っていた AZ-GTi を活用する気になりました。これまでは、 PHD2 のドリフトアラインメントで極軸合わせをしていましたので、時間がかかり、動かせる赤道儀は1台が限度でした。 また、 71FL に付けている ASI 533MC のチルト補正を行いました。レーザーコリメーターを押入れの中に入れ、 A4 用紙に開けた穴を通してセンサー面に反射させる簡単なものですが、大まかな補正には役立っています。 N.I.N.A. の極軸合わせプラグインは AZ-GTi でも使える N.I.N.A. の Three Point Polar Alignment プラグインは、 AZ-GTi でも同じように使えました。ただし、 SkyWatcher のウェッジは、高度・方位角とも調整ネジが扱いにくく、誤差を 1 分角以内にするのはなかなか大変です。 2 分角以内であれば良しとしました。 また、撮影中に高度が狂ってくるようで、ガイドがかなり乱れます。それでも、なんとか撮影は出来ました。 すばるです。 1 分 X18 枚をダーク・フラット処理し、ストレッチしただけのものです。 星像の改善 533MC自体は補正の必要がないと思っていましたが、チルトアジャスターやアダブターを付けた状態で調べると、かなり狂っていることがわかりました。補正後の上の星像は、かなり改善されたような気がします。 次は、前回のチルト補正前の画像の偏心度グラフです。これに比べれば、ほぼ満足できる状態になりました。 すばるの処理 この画像を含め、これまでに 7 日間で撮りためた、約 6 時間のすばるを簡単に処理してみました。夜 10 時半には上階のベランダのひさしに掛かってしまうため、 1 日で最大でも1.5時間しか撮影できません。機材は 71FL+ レデューサー、 ASI 533MC です。 これから AZ-GTi は、ウェッジがもっとしっかりしたものであれば、結構使えそうです。そのため、ネットで評判の良い Stronghold Tangent Assembly set を Ali

ようやく星が丸くなる

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この 1 年近く、周辺の星像の歪みをどうにかしたいと思い、いろいろと試行錯誤してきましたが、昨日の撮影でなんとか満足できるレベルになりました。ε 130D・ ZWO ASI 183MM・ OIII フィルターで撮影したすばるです。 PixInsight の FWHMEccentricity でも、平均偏心度が 0.356 となっており、これを裏付けています。 なぜうまくいったのか 前回と異なるのは、バックフォーカスを 0.3mm 伸ばして、 58.15mm にしたことでしょうか。コマコレクター以降は次のようになります。          M52-M42 アダプター : 2mm          スペーサー : 0.3 mm          M42 回転装置 : 13.65 mm          スペーサー : 1mm          チルトアジャスター : 11.2 mm          スペーサー : 1 mm          M42 オスオスアダプター : 2 mm          EFW : 20 mm          スペーサー : 0.5 mm          ASI 183MM: 6.5 mm うまい M42 延長筒がないため、スペーサーだらけになってしまいました。スペーサーは岩田製作所さんのものです。 これまでは、ε 130D のバックフォーカス 56.2mm に、フィルター厚 2mm の 1/3 である 0.7mm を加えた、 57mm 前後で試行錯誤していました。しかし、これが間違った思い込みだったようです。もっと広げて試すべきでした。 他にも、ε 130D の回転装置を固定して、調整したコリメーションがずれないようにしたこと、オートフォーカス実行時でもフォーカサーを軽くロックしておいて遊びをなくしたことも、問題の所在を明確に出来た点で、大きな解決要因になったと思います。 赤道儀のコーンエラー ε 130D だけでなく、 Borg 71FL でも同じような周辺の星像の問題が起きています。そのため、赤道儀の方に問題があるのではと考え、水平を厳密に取ったり