星マスクと星雲マスク(フラットエイドとステライメージ)


画像処理でよく耳にする星マスクと星雲マスクを、とりあえずは作ること(使うことは後にして)にチャレンジしました。FlatAide Proで星像消去をした後で、スターシャープを掛けてみたこともきっかけになりました。まずはFlatAide Proで星像消去と星マスクの作成をしてみますが、これが難関でした。

FlatAide Proの星マスクと悪戦苦闘


説明書のサンプルを参考に、次のように「輝星検出」の値を小さく、「微恒星検出」の値を高く設定しました。左側のプレビューではうまく消去されているようにみえます。


ところがこれで「実行」ボタンを押すと、真っ青な画面になってしまいます。

全てが星だとされたようです。パラメーターをいろいろと変えてみても状況は同じで困り果て、メールでお聞きしました。そうすると、「微恒星検出」の値を低くしてくれとのことでした。

そこで、星雲が検出されない程度に「微恒星検出」の値をいろいろと変えていくと、60までが限界で、70を越えるとうまくいかないことが分かりました。



これで実行すると、一見うまく星像が検出されたかのようにみえます。しかし、この値ですと多くの「微恒星」が検出されずに無視されてしまいます。ここから「星マスク画像生成」を実行して保存し、それをステライメージ8(SI8)で読んだのが次の画面です。


これでは、星の数が少なくてマスクとしては使えないような気がします。もう一度FlatAide Proの販売元にメールし、(1)このようになる原因は露光不足か(合計32分)、(2)プレビューと結果が異なるのはいずれ改善されるのか、について伺いました。(1)についてはその通りであり、都会では最低でも2時間の露光が必要である(ご本人は4時間とのこと)、低公害地でも1時間は掛けるべきとのこと、(2)については回答がありませんでした。

2時間以上露光しない画像は、少なくとも星像検出では、FlatAide Proはまともに扱ってくれないということですね。ここで、方向転換してSI8で作ってみることにします。

SI8の星マスク


SI8では、「範囲選択」メニューに「選択マスク作成」機能があり、自動的に星マスクが作れます。しかし、次のように「ぼかし」が弱いと、輝星がドーナツ状になってしまいます。


このことは、aibouさんのブログhttps://astro.allok.biz/image-processing/star-mask-stellaimage/にも書かれていて、この状態の星マスクに手動で作った星マスクを比較明合成されていました。試してみましたが、確かにドーナツ状態は解消されますが、どうも私の技術では二つのマスクがしっくりマッチできませんでした。そこで、ぼかしを強く掛けて作ったのが、次の星マスクです。


こちらの方がだいぶ良さそうですね。ここで、いくらなんでもFlatAide Proで星像検出がプレビューのとおりできないのは変ではないかということに思い至り、FITSではなくもともとフラットエイドが標準にしていたtiffで試してみることにしました。

tiffファイルによるFlatAide Proの星マスク


これでうまくいけば、その後の星雲マスクもうまく作れることになります。SI8FITStiffに変換して、微恒星も検出できるようにパラメーターを設定します。


するとできました。予想通り、FlatAide ProFITSファイルのアルゴリズムが、どこかおかしいのでしょう。いつかアップデートされるよう期待しています。これからできた星マスクです。


これから、SI8か、このFlatAide Protiff)による星マスクのどちらが効果的か、検証していかなければなりません。

FlatAide Proの星雲マスク


今度は、星像を消去してそこから星雲マスクを作ろうとしました。しかし、星像消去画面を拡大してみると、星の残像が無残な姿になっていました。


説明書では「星像消去ブラシ」で消えるとありましたが、全く効果はありません。ここで、FlatAide Proの星雲マスクはあきらめました。

以前から拝見していたStarry Urban SkyHIROPONさんのサイトを参考に、フラットエイドで作ってみることにします。

フラットエイドの星雲マスク


フラット処理をした画像をtiffファイルに変換して、フラットエイドで読み込みます。


HIROPONのサイトを参考にパラメータを設定します。



うまく検出できますので、星像を消去すると、星雲だけが残りました。



これをSI8で読んで、モノクロ・反転・ぼかし・強調処理をします。


これまでで、次のことが分かりました。

・星マスクは、tiffからFlatAide Proで作るか、SI8で作る(FITSからFlatAide Proではうまく処理できないことがある)。

・星雲マスクは、tiffからフラットエイドで作る(FlatAide Proではうまく処理できないことがある)

これから


ようやく、マスクを使う画像処理のスタート地点に到達できたかなと思います。はたして、マスクが効果的に使えるような写真が撮れるのか、マスクを使いこなせるのか、の二つがこれからの課題です。


※追記(2019/7/28)
HIROPONさんのブログで、星雲マスクが作れるStarNet++のことを知り、さっそく試してみました。tiffファイルを16ビットfitsに変換し、コマンドラインで動作させます。私の古いcore i3では多少時間がかかりますが、手間もかからず、なるほどきれいにできます。

ステライメージでマスクをかけ、マトリクス色補正などをしてみましたが、確かに星雲だけに効果が現れているような気がします。ただ、劇的な効果があるかと言われれば、よくわかりません。これから習熟していきます。

※追記(2019/8/29)
PixInsightを使うようになり、星マスクも星雲マスクも全てPixInsightの中で作るようになりました。

※追記(2019/8/30)

星雲マスクは、StarNet++が最良でした。これは使い続ける必要がありそうです。

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