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ナローバンドとOSC画像だけを使う

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前回は、ナローバンドの Ha と OIII を、まず R 、 G 、 B に組み込んで RGB を作り、今度はそれを OSC ( 533MC )と合成していました。しかし、これではRGBと OSC の情報がダブっているような気がします。 そこで今回は、 e-130D+183MM では Ha と OIII だけのナローバンドにしてブロードバンドの撮影を行わず、これを直接 FRA400+533MC の RGB 画像に組み込むことにしました。次はこうして作った、とも座 Skull and Crossbone 星雲 (NGC2467) です。 HOO 画像の星には色がない 試しに HOO で RGB を作ると、星雲ははっきりしていますし、星も締まっていますが、星にはほとんど色がありません。 一方 OSC は、星雲はぼやけていて、星が大きいものの、星には色がしっかり乗っています。 ZWO ASI 533MC には、 Comet BP フィルターを付けていますが、これが色のバランスが良いようで、 PixInsight の Photometric Color Calibration がうまく働きます。左がキャリブレーション前、右が後で、左の青みがかった色合いが自然になっているように思います。以前使っていた Quad BPフィルター ではうまくいかないことが多々ありました。 RGB 分解した画像にナローバンドを組み込み リニア段階の OSC 画像を RGB 分解し、前回と同じやり方で Ha と OIII を組み込みます。 R 画像に Ha を組み込んで作る Rnew には効果がすぐに見て取れます。左が OSC の R 、右が R 成分を除いた Ha を組み込んだ新しいRです。 しかし、 G や B 成分を取り除いた、次の新しい OIIIに は大きな情報がないように見えます。 たしかに、これを組み込んだ B 画像を比較してみると、そうたいした変化はないように思えます(次の上の画像)。しかし拡大してみると、星雲のコントララストが向上し、 R と同じように明らかにノイズが減っています(次の下の画像)。 元の OSCの

撮影開始と終了処理の自動化

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撮影を始めるときの、機器の接続・カメラの冷却・プレートソルブと同期・極軸合わせなどは頭に入っているはずですが、年を取ると忘れっぽくなるため、できるだけ自動化してみました。また終了するときは、機器を接続し、アプリケーションも起動したまま、無理やり別のソフトでシャットダウンしていました。これですと、機器の故障の原因にもなりかねませんし、電源を切って良い時間を計算するのが面倒でした。 撮影ソフト N.I.N.A. には、標準では機器の接続・切断の命令はありません。しかし、 N.I.N.A. 制作者の Stefen Berg さんが Connector プラグインを作ってくれていました。今回はこれと、外部コマンドを実行する命令を使ってみることにします。 撮影開始時 N.I.N.A. で撮影を始めるときは、次の手順で手動で行っていました。 1. 機器の接続と赤道儀のパーク解除 2. カメラの冷却 3. 赤緯0度で子午線近くに鏡筒を導入 4. ピント合わせ 5. プレートソルブと同期 6. Three Star Polar Alignment で極軸合わせ 7. 再度赤緯0度で子午線近くに鏡筒を導入し、 PHD2 でドリフトアラインメント(方位の わずかな アラインメント誤差を修正) 8. プレートソルブして、鏡筒の回転角度を 0 度または 180 度に調整 9. 撮影に使うフィルターでピント合わせ 10. 鏡筒を天頂に向けてフラットを撮影 6 の最後で行う、方位と高度の調整までは自動化できることになります。次の図の最初にある "Connect All Equipment" が、 Connector プラグインで追加された命令です。 2.のカメラの冷却は、それ以降のプロセスと並行で行うことができますので、「並列命令セット」と「順次命令セット」は次のように入れ子にします。          < 並列命令セット>          ・カメラ冷却          < 順次命令セット>                   ・子午線への導入と中心合わせ                   ・オートフォーカス

カスタム地平線を作る

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ベランダ撮影では、前の人家・立木・電線や、横のパーティションが邪魔になります。これまでは、毎日記録を取って、何時に撮影ができなくなるかを把握していました。しかし時間は毎日 変わりますので、これは面倒です。解決策を探していて、 N.I.N.A.の「カスタム地平線」が使えることが分かりました 。 これを使うと、次のように撮影可能な高度と時間が表示されるようになります。これは 1 月 14 日の M42 ですが、午後7時から 11時であれば、障害物に掛からずに撮影できることが、 ひと目で分かります。 参考にしたのは、 Patriot Astro さんの次の YouTube です。 https://www.youtube.com/watch?v=sq3RovtMggc&t=431s アプリで障害物の方位と高度を測定する 上の Patriot Astro さんの動画では、タップするとログファイルが作られるようですが、このアプリが見つからないため、似たような GEOCAM フリー版を使うことにしました。 これでタップして写真を撮っていきます。原始的ですが後で写真を見ながら方位と角度を記録していきます。 方位・高度のファイルを作る Excel で方位と角度を、方位の昇順になるように入力していきます。 次にこれを空白区切りのテキストファイルに変換します。方位 112 度未満、および 220 度以降は、障害物にかかりますので、次のように、高度を 90 度にして最初の行と最後の行に追加します。 N.I.N.A. でファイルを指定する このファイルを N.I.N.A. の「オプション」タブにある「カスタム地平線」で指定します。 そうすると、シーケンスの撮影対象に先ほどの撮影可能な高度と時間のグラフが表示されるようになります。 これから カスタム地平線を使うと、撮影計画を立てるときに時間の節約ができますし、撮影の失敗が少なくなります。ベランダ撮影には効果的なツールですね。 ステラリウムでも同じような設定ができるようですので、明日にでもやってみようと思います。   ※追記 2022/1/19 ステラリウムでは、

オートフォーカスのオフセットを作る

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今日は夜半に曇ってきそうでしたので、フィルターを変えるたびにオートフォーカスをやり直さなくて良いように、オフセット値を測定しました。 N.I.N.A. に Dark Customes という、自動的にオフセットを測定するプラグインができましたので、これを使います。 この プラグインをインストールすると、「撮像」タブの中に「 Filter Offset Calculator 」タブが作られます。 これを実行すると R・G・B・Ha・ OIII の 5 つのフィルターで、それぞれ 3 回オートフォーカスを実行します。 測定した結果は、次のように絶対値で表示されます。 Ha と OIII が全く同じフォーカス位置であることが初めて分かりました。 これを相対位置に変換し、 Accept ボタンを押します。 この値は、 次の「オプション」タブの、「オートフォーカスフィルター設定」に反映されます。また、左上の「フィルターホイールのオフセット値を使用する」を ON にしておきます。 今日はここまでですが、こうしておけばフィルター交換や、 HFR の増加によるオートフォーカス時間を節約できるのはもちろんですが、次のようにディザリング時間も節約できるようです。通常は、 3 枚撮影するごとにディザリングしているのですが、 RGB をそれぞれ 3 枚、合計 9 枚撮影してからディザリングすることで、多少でもディザリング回数を減らすこともできるようです。ただ、フォーカス位置の変更にも時間がかかるわけですから、それほどの効果はなさそうですが・・・ これから ベランダ撮影では、少ない撮影時間をいかに多くするかがポイントになります。カラーカメラで RGB 画像を補強するだけでなく、いろいろな工夫をすることが必要になりそうです。 ※追記 2021/1/15 上のシーケンスの画像には、トリガーに「フィルター変更後のオートフォーカス」を入っていました。これですとオートフォーカサーが動いてしまいます。これは不要でした。 ※追記 2021/1/20 以前に手動で測定したオフセット値とほぼ同じでしたが、なぜかGの値

カラーカメラの画像をモノクロ画像に組み込む

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Askar FRA400 の星像が改善したので、 AZ-GTi 赤道儀に載せて撮影をはじめました。 FRA400 と ZWO ASI 533MC の組み合わせに、オートフォーカサーを付けて重くなったためか、極軸合わせにさらに苦労するようになり、オートガイドも乱れるようになって歩留まりがいっそう悪くなりました。これについては、別に考察しようと思います。 タカハシ e-130D で撮った ZWO ASI 183MM のモノクロ画像と、この 533MC のカラー画像を何とか組み合わせて、 RGB を補強しようといろいろと試しました。 モノクロの R に Ha を組み込む 撮影したのは、おおいぬ座トールのかぶと (NGC2359) です。 Ha から R の成分を取り除いて R に組み込むやり方は、前回のとおりです。左が元の R 、右が Ha を組み込んだ新しい R です。効果は歴然だと思います。 なお今回は、なぜか OIII にはあまり情報がないような気がして、 G と B への組み込みは行いませんでした。 533MC ( OSC ) RGB とモノクロ RGB を合成する OSC の撮影時間が 210 分、モノクロ RGB が 150 分ですので、それに近い 6:4 の割合で、合成してみました。左が OSC 、中央がモノクロ RGB 、右が PixelMath で合成したものです。なお、いずれも背景ムラを取り除き、カラーキャリブレーションを行い、背景の明るさをそろえています。 ちょっと分かりにくいのですが、 OSC に比べてノイズが減り、モノクロ RGB に比べて彩度が上がっていますので、OSC画像を追加することは効果があると考えられます。なお、星の大きさを比較すると、 OSC の平均 FWHM が 4.98 、モノクロ RGB が 4.75 、合成 RGB が 4.91 と、当然ですが OSC とモノクロ RGB の中間の値になっています。 ノイズ低減はストレッチしてから TGVD を使う 最も優秀だとされている MureDenoise は、ストレッチするとかえってノイズがひどくなることを以前のブログで書きました。光害