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12月, 2022の投稿を表示しています

ポータブル電源の不具合とその対応

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先日の撮影で、新しく購入したポータブルバッテリー Anker 521 Portable Power Station の残量が 30% あたりになったとき、その直後に電源が落ちるというトラブルがありました。冷却カメラの昇温処理ができませんので、これは極めてまずい現象です。 その後室内で、撮影 PC や赤道儀と同じ程度の消費電力である 35W の保温マットをつないで、負荷試験を行いました。その結果、次のように 30% 前後で急速に残量が 0 になることが裏付けられました。 購入元の Anker Japan に連絡すると、すぐに対応してくれ、製品を返送後に不具合を確認してくれました。昨日代替品が届きましたので、本日同じような負荷試験を行いました。 その結果、時間とともに残量がほぼ線形で減少していることを確認しました。使用時間が 90 分程度伸びています。残量が 10% 程度から 20 分は動きますので、カメラの昇温と片付けを始めることができます。 6.5 時間は撮影できることになりそうです。 Anker は、不要になったバッテリーを無料で回収してくれますし、今回の対応も適切で、信頼できる企業であるとの印象を受けました。

CPU交換で画像処理時間が30%に

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年明けに CPU を交換しようと思っていたのですが、候補の Core i7 12700 の価格が上がっていること、合わせて買おうと思っていたマザーとのセットがツクモネットショップにあったこと、年末年始がひまなことから、急遽 68,980 円で購入しました。 現在の第 8 世代 CPU である、 Core i5 8400 と比較すると、スレッド数が3倍以上になっています。これがどのように影響するか調べてみました。 ・ Core i5 8400 ( 6 コア 6 スレッド) ・ Core i7 12700 ( 12 コア 20 スレッド) 1260 枚の画像処理時間 おたまじゃくし星雲を撮影した 420 枚の fits 画像を、 PixInsight の WBPP を使って、ディベイヤーして 1260 枚の RGB 画像に分離し、 RGB 別にレジストレーション、ローカルノーマライゼーション、インテグレーションをします。 撮影カメラは ZWO ASI 533MC (約 900 万画素)ですので、 fits ファイルは 17.2MB とそれほど大きくはありませんが、ディベイヤー後の xsif ファイルは 103MB と大きくなります。 CPU (とマザーボード)以外は、同じ条件です。メモリは 64GB で、 GPU は NVIDIA Geforce GTX1650 、 PixInsight の作業ドライブは、 256GB の SSD に割り当てています(およそ半分を使います)。 Core i5 8400 の処理時間を、 WBPP の Execution Monitor とストップウォッチを使って測ってみました。なお、ダークはマスターを使いますし、フラットは毎回撮影後にインテグレーションしていますので、ダーク・フラットのインテグレーションはスキップされます。合計時間は 5 時間 20 分( 320 分)でした。 同じように、 Core i7 12700 の Execution Monitor は次のようになっており、処理時間は 1 時間 33 分( 93 分)でした。 Core i5 の 320 分と Core i7 の 93 分を比較すると、 29 %の処理時間で済んでいます。半分以下になるだろうとは思っていましたが、 1/3 以下になりました。単

StarXTerminatorの高速化

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10 時間を超える画像を、 PixInsight の WBPP を使って RGB 別に処理すると、終了までに 5 時間を超えるようになりました。現在の CPU は第 8 世代の Core i5 8400 ですので、これはなんとかしなければと思うようになりました。もう新しい世代への移行時期ですね。 もう一つ気になったのは、 StarXTerminator でのスターレス画像作成にひどく時間がかかっていることです。調べてみると 1 枚のスターレス画像を作るのに、 5 分 54 秒もかかります。現在のグラフィックボードは、 ASUSTeK の NVIDIA GTX750Ti です。発売が 2014 年だそうですからもう 8 年も前になります。さすがに古くなっています。なによりビデオメモリが 2GB しかありませんから、 NVIDIA の CUDA ( Compute Unified Device Architecture )が使えません。 そこで、まずビデオカードを更新して、 CUDA を使って StarXTerminator を高速化することから始めてみることにしました。購入したのは、エントリーモデルですが 4GB のメモリがある MSI GEFORCE GTX1650 で、メルカリで 13,000円 でした(財布に優しいので助かります)。同じ画像を使って、速度を測ってみると 42.6 秒でした。以前の 5 分 54 秒と比較すると、 8.3 倍速くなっています。この程度の投資で、これだけの結果が得られるのは驚きです。 ビデオカードのメモリが実際に使われていることが、タスクマネージャーのパフォーマンスグラフでも確認できました。 CUDA の設定 CUDA の設定は結構面倒でしたので、覚書としてまとめておきたいと思います。参考にしたのは、次の StarNet を CUDA で高速化するサイトです。 https://www.williamliphotos.com/starnet-cuda (1) CUDA のインストール NVIDIA のサイトで、 CUDA Toolkit 12.0 をダウンロードして、インストールします。 https://devel

おたまじゃくし星雲のSHO処理

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寒くなってきたのに防寒対策をしていなかったので、外に出るのが億劫になっていました。星の会の仲間からアドバイスをもらって、発熱ベスト、スノーブーツ、靴下用ホッカイロを購入。これが効果抜群でした。一昨日まで 12 時間を掛けて、快適にぎょしゃ座おたまじゃくし星雲 IC410 が撮影できました。もっと撮影するつもりですが、昨日・今日と生憎の天気でしたので、 SHO 変換の練習をかねて処理してみました。 2 匹のおたまじゃくしははっきり確認できますが、まだまだ色の深みがありませんね。 撮影時間: 2022 年 12 月 14 日 ~12 月 21 日の 5 日間で 120 秒 X360 枚 : 720 分 撮影地:東京都足立区 望遠鏡: Askar FRA 400 カメラ: ZWO ASI 533 MC Pro 赤道儀: ZWO AM5 オートガイダー: ZWO 30F4 ミニスコープ + ASI 290MM mini フィルター: IDAS NBZ オートフォーカサー: ZWO EAF 撮影 PC : MeLe Quieter 3Q ( Windows 11 ) + Fire HD 8 ( TeamViewer ) 撮影ソフト: N.I.N.A. + PHD2 画像処理:PixInsightのみ・80%程度にクロップ BlurXTerminator は効果抜群 ワンショットカラー画像では、 L 画像を抽出してデコンボリューションを掛け、それを RGB に戻すという方法しかないようです。しかし、 L 画像のデコンボリューションの効果はしっかり出るのに、 RGB に組み込むと全くわからなくなります。デコンボリューションはあきらめていました。 ところが、話題の BlurXTerminator ですと、 RGB 画像に直接掛けることができますし、 PixInsight のデコンボリューションの面倒臭い設定も、時間ばかり掛かる試行錯誤も必要ありません。 このデフォルトの設定で、あっという間に次の左の画像が右のようになります。星像が小さくなり、青のフリンジもほとんど消えていますし、リンギングも見られません。ただ、星雲の変化はそれほど大きくはありません。設定を変えて効果を大きくすることもできますが、これが星像から割り出された、元の星雲の姿と考えれば、これで満