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GHSのカラーストレッチ(Arcsinhストレッチ)

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前回PixInsight の GHS ( Generalised Hyperbolic Stretch )に、 Arcsinh ストレッチが組み込まれていると書きました。そのためには次のように、 Transformation type ( ST )で、 Arcsinh stretch ( AS )を選ぶ必要があります。 しかしバージョン2 では、 GHS そのものに AS のストレッチ方法が取り込まれていることが分かりました。 ASで は、直接 RGB/K チャンネルをストレッチするのではなく、 L チャンネルを取り出してストレッチし、そのストレッチ割合を今度は、 RGBそれぞれのチャンネル に適用するとのことです。私が理解できたのはこれくらいですが、これも正確かどうかは分かりません。詳しくは Dave Payne さんの次のビデオをご覧ください。 https://ghsastro.co.uk/dave-payne/ GHS では、最初のストレッチとして AS ライクな方法を使うことになっているようで、それを「カラーストレッチ」と呼んでいます。次のようにヒストグラムの下の Col ボタンをチェックし、それ以外は通常の GHS と同じようにします。 画像比較 最初は、 STFとHT を使ったストレッチです。星が肥大していて色も残っていません。 次は通常のGHS を実行した結果です。星像は締まっていますが、やはり星の色はほとんど残っていません。 最後は、カラーストレッチを実行した画像です。わずかですが色が残っていることがはっきりと分かります。例えば右の中心にある星が青いことが見てとれます。ただし、左上の赤い星の場合は、星の中心部が飽和しています。 これから Arcsinh ストレッチと同じように、カラーストレッチでは輝星の中心部がどうしても飽和するようです。これは次のように、設定ダイアログボックスで、カラーストレッチで「 Clip 」を指定しているためですが、これ以外ではもっと不自然になるようです。 上の場合は、輝星の中心を保護する Repaired HSV Separation を リニア状態で 実行していますが、それでもどうしようもないようです。最初のストレッチはできるだけ弱く掛けるようにするのが良いのかもしれません。

PixInsightの新しいストレッチ方法 - GHS

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GHS は Generalised Hyperbolic Stretchの 略で、日本語だと「一般化双曲型ストレッチ」になるのでしょうか。 最近、イギリスの都会から FRA400 + ZWO ASI 2600MC+ L-eXtreme フィルターを使って撮影し、疑似ハッブルパレットを作り出している、 Lee Pullen さんのサイト( URBAN ASTROPHOTOGRAPHY) を興味深く読んでいます。このサイトのすばるの回に、これが紹介されていました。次の画像の左下にあります。 https://urbanastrophotography.com/index.php/2022/01/14/the-pleiades/ Dave Payne さんが仕事で使っていた Generalised Hyperbolic Function を天体写真のストレッチに使ったところうまくいったため、 PixelMath で実行できる数式を公開していました。そこに Mike Cranfield さんが協力して、 PixInsight のスクリプトを作ったとのことです。現在はバージョン 2 になっており、リアルタイムプレビューができるようになりました。 Payne さんのサイトにチュートリアルがあります。 https://ghsastro.co.uk/dave-payne/ 数学的なことはさっぱりわからないのですが、ストレッチを最大化したい箇所を Symmetry point( SP: 対称点 )と呼んでおり、そこを指定できる点が最大の特徴のようです。またこれに加えて、ストレッチ要因 D 、ストレッチ強度 b 、シャドウ・ハイライトポイントの、五つのパラメーターを、プレビューを見ながら指定することで、慣れればストレッチを自在にコントロールできるようです。更に面白いのは、 Histogram Transformation や Arcsinh Stretch なども組み込まれており、全てのストレッチ方法が統合化されていることです。 最初のストレッチ まずストレッチ前のヒストグラムで、ピークのすぐ右側の値を調べ、それを 対称点(SP) にします

初めての月面撮影・PixInsightのプロセスロード

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ASI 290MM を活用して月面撮影 オフアキシスガイダーに移行したとき、 ASI 290MM mini を購入したため、それまでガイド鏡撮影で使っていた ASI 290MM の行き場がなくなり、月面撮影に使ってみました。 月面撮影に関しては、次のサイトが参考になりました、というよりほぼこの通りに実行しただけです。英語ですが、説明は「簡にして要を得る」の見本のようで、大変分かりやすくなっています。 https://theskysearchers.com/viewtopic.php?t=3893 SharpCap で、 1,000 ショット撮影します。タカハシ e-130D では、月の半分強が視野に入るので、上下二つに分けて撮影しました。鏡筒が明るいせいか、露出はこのサイトにあるような 18 ミリ秒ではなく、 1.6 ミリ秒で十分でした。そのためすぐに撮影が終わります。 Autostakkert!3 で、 Image Stabilization を Surfaceにし 、 Local (AP) を選んで、 Analyse し、 Alignment Point(AP) を 144 程度にして、 Place AP grid ボタンを押し、最後に Stack します。 Registax 6 を使ったw avelet 処理でシャープ化しますが、この説明も極めてシンプルで、左パネルの最初の二つのスライダーを、例えば、最初を 25 、 2 番目を 10 程度にするとあります。ほぼこの通りにして、 Do All ボタンを押します。 次に GIMP で 端をクロップし、最後に Microsoft Image Composite Editor で、シャープ化した二つの画像を読み込み、 Next ボタンを 2 回押すだけで、モザイク合成が完成です。 PixInsight 1.8.9 でプロセスがロードできない PixInsight 起動時に、保存しておいたプロセスアイコンを読み込ませるには、 C:\Program Files\PixInsight\etc\startup にある、 startup.scp ファイルの最後に、次のようにプロセスアイコンファイル(.xpsm)をオープンするよう指定しておきました。 しかし、

たわみは主鏡止めネジのゴムシートが原因

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タカハシ e-130の 、ガイド鏡を使ったオートガイドでは、ガイドエラーはほとんど目立たないのに、画像全体の星像が流れることを報告しました。次の画像ではほぼ横に流れています。 オフアキシスガイダー( OAG) に変更すると、これが解消されることから、原因はガイド鏡と主鏡のたわみの違い( differential flexure )であることが分かりました。 しかし、 OAG はガイドカメラで捉えられる星の数も少なく、ガイドが安定しません。ガイドカメラを ZWO ASI 120MM mini から、 290MM mini に変更しましたが、多少改善されたもののやはりガイドは安定しません。特に低緯度の天体で、空が明るいときは撮影ができません。市街地では明るい鏡筒をもってしても、 OAG は難しいのかもしれません。ちなみに、 290MM mini は AliExpress で、わずか1周間で届きました。 たわみの原因を考える ガイド鏡を使った撮影でのたわみは、以前にはたまに起きたのですが、最近は毎回必ず起きます。最近鏡筒で変更したのは、主鏡の光軸ズレを減らすために、主鏡の止めネジと金具の間に、 0.5mm のゴムシートを入れたことです。これによって、光軸ズレはほとんど起きなくなり、OAGでの星像も丸くなりました。しかし、考えられる原因はこれしかありません。これを取り除くことにしました。 星は流れなくなったが・・・ ネジの締め方がまだ良く分からないので、主鏡が回転しない程度で 、下から押せば上下には動く程度にしました。その結果、見事に星は流れなくなりました。やはり、これがたわみの原因でした。 しかし、星が三角形になっています。明らかにネジの締め過ぎで、主鏡が歪んでいます。 これから OAG にしていると、光軸合わせをするときに、フォーカサーを伸ばさないと補正レンズが取り外せないという不便なこともありました。ガイド鏡に戻すことはいろいろなメリットがあります。 たわみの原因がわかったことで、残る問題はネジの締め具合を調整して、星が歪まず、光軸ズレを頻繁に起こさないようにすることだけになりました。一歩前進というところでしょうか。

フラット光源の変更

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フラット撮影は Amazon で購入した A4 の LED トレーサー( 1,299 円)を使っていました。 e-130D の開口部が A4 サイズよりちょっと小さいので、大きさはぴったりです。軽くて安いことも大きなメリットです。 ただ、光量を無段階で調整できるのは良いのですが、毎回何度か調整しないと露光時間を 0.1 秒前後にできませんでした。 以前に 294MC を使っていたときは、フラット処理がなかなかうまくいかなかったので、露光時間を3秒以上にしていました(Cloudy Nightsではそのような意見が大勢だったと思います)。しかし、現在の 183MM は( 533MC も)短時間で全く問題ないようです。フリッカーを目立たないようにするには、光量を最大にすると良いというあぷらなーとさんのブログを参考にもしました。そのためいつも 0.1 秒前後になるように調整しています。 しかしそれでも、フレームごとに明るさが異なる場合が多々ありました。次は最も暗いものと明るいものの比較です。 そのため毎回 40 枚と多めに撮影し、 Blink でチェックして明るさの異なるフレームを削除して、 30 枚程度になるようにしていました。これは面倒であるというだけでなく、本当にきれいなフラットになっているかどうか極めて疑問です。 本格的なフラット装置が必要か フラット装置に移行するときかなと思いました。 N.I.N.A. でコントロールして、明るさを調整できるものは3種類あります。その中で評判が良く A4 サイズより大きいのは、 Pegasus Astro の Flat Master 250 のようです。 https://pegasusastro.com/flatmaster-250/ 値段が $430.44 と高いのは確かに問題ですが、最大の問題は発光体の枠が大きいことです。実は e-130D の開口部の外側に、 ZWO EAF が飛び出していてその隙間は 3cm 程しかありません。 Flat Master 250 の外枠は少なく見積もっても 5cm はあります。 フリッカーレスの LED トレーサー 調べてみる

淡い天体は難しい・ステラリウムの風景の作り方

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とも座 Sh 2-302 の RGB へのナローバンドの組み込み 1 月に撮りためた、とも座 Sh 2-302 を処理してみました。 Askar FRA400 の RGB に、タカハシ e-130D のナローバンドを組み込むという、これまでの方法を踏襲しました。撮影時間は次のとおりです。          e-130D, ZWO ASI 183MM ( -10 度) , Ha:255 分 , OIII: 223 分          FRA 400, ZWO ASI 533MC ( -10 度) , 92 分 結構時間を掛けたつもりですが、ノイズが多く、星雲もぼんやりしています。淡い星雲の場合は、まだまだ時間が足りないのかもしれません。 ステラリウムのカスタム風景 何度か作っているうちに、少しコツがわかったような気がします。スマホには広角カメラがないので、オリンパス EM-5 に BCL-0980 を付けて撮影しました。カメラのパノラマ機能は、このレンズには対応していないようなので、 GIMP のパノラマ機能で合成しましたが、スマホに比べると、あまりきれいにはできません。 最初にベースとなる、横 2048 縦 1024 ピクセルの画像を作り、下半分を黒く塗りつぶし、上半分を透明した画像を作ります。 これに、空を透明にしたパノラマ画像を貼り付け、適当に縮小して次のような風景画像を作ります。 GIMP はこのままにしておき、後でパノラマの拡大・縮小ができるようにしておき、この PNG 画像をステラリウムに入れます。 この状態で、コンパスで測った方位と背景が一致するように、① パノラマを拡大縮小する、② landscape.ini の angle_rotatez で方位のオフセットを変更する、の二つを試行錯誤していきます。数回繰り返すと、だんだん実際の風景に合ってきます。これが一番簡単な方法のような気がします。