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撮影現場での傾き検知と補正(ASTAP)

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撮影現場で傾きを検知して補正するのに、 PixInsight の FWHM Eccentricity スクリプトは極めて不便です。 ・スクリプトを実行して、 FWHM と偏心画像を出すまで面倒で時間がかかる  (そもそも PixInsight が重く、ノートパソコンでは扱いにくい) ・星の数が 600 程度以上でないと、画像が作れない ・ FWHM と偏心画像では、どのように補正すればよいかがよく分からない しかし、 CCDInspector に 2 万円を払う気がどうしてもおきません。同じように考えている人は多いようです。昨年 12 月の N.I.N.A のフォーラムに、 ASTAP が紹介されていました。 ASTAP の CCD Inspector ASTAP は N.I.N.A. で標準のプレートソルバーとして使っていましたが、このような機能があるとは知りませんでした。次のサイトから最新版をダウンロードし、 FITS ファイルを ASTAP に関連付けました。                    http://www.hnsky.org/astap.htm#inspector メニューの下でヒストグラムを設定できますが、これによって検知する星の数は影響を受けないようです。 Tools メニューから Image (CCD) Inspector を選ぶか、 F5 を押すだけです。 星の HFD を検出し、それによって傾きを図示します。画面下に Tilt[HFD] = 0.06 とあるのは、最小と最大の HFD の比率で、これが 20% を越えなければ、ほぼ問題はないのことです。この画像は0.06(6%)ですので、センサーの傾きがないことになります。 しかし、次の画像は Tilt[HFD] = 1.45 と 145% もあり、盛大に傾いています。左上ー右下( TL-BR )が傾いていることが分かります。 なお F4 を押すことで、 FHD の等高図を表示させることもできます。 これから ASTAP は動作が軽快で、 F5 キーですぐに傾きが表示されます。星の数が少なくても動きます(信頼性に問題はあるかもしれませんが)。これは撮影時に使うのに向いています。 ただし、人工星像の傾き検知はうまくいきませんでした。星像が大きすぎるとうま

バーティノフマスク画像を使った傾き検知と補正

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人工星像を作って傾きの補正をしようと考え、いろいろと試してみました。まずは、家にあった透明なビーズを黒い画用紙に貼り付けてみました。しかし乾燥したボンドが反射して丸い像がうまくできませんでした。同様にベアリングボール(直径 0.1mm )もうまく貼り付けられませんでした。そこで単純ですが、穴を開けて星にしてみました。 ピンホール式人工星像 厚手の画用紙(色上質紙 北越紀州製紙 超厚口 黒 くろ ブラック 約 0.26mm/ 枚 Y 目  A4 10 枚)を購入し、まずは裁縫針で穴を開けましたが、大きすぎてだめでした。次はピンバイス(タミヤ TAMIYA 74051 [ 精密ピンバイス S] )を使い、 0.3mm のドリル歯(タミヤ TAMIYA 74081 [ 極細ドリル刃 0.3mm] )で約 2500 個の穴を開けました。この歯は折れやすく、 3 本を使いました。次は、これを LED トレーサーに載せて撮影したものです。 星像はかなり大きいものの、 PixInsight の FWHM Eccentricity スクリプトで分析ができました。なおε -130D では、室内ではどうしてもピントが合わないため、 Borg 71FL+ フラットナーを使いました。 晴れた夜をむだにしないで偏心度を調べられるのは良いのですが、これからどのように補正をすればよいのかがはっきりしません。どの方向に どれだけの厚さのシムプレートを入れればよいのかが分かりません。また、フランジバックが合わないことによる星像の乱れも、問題を複雑にしています。そのため、まず傾き補正だけに専念し、バーティノフマスクの画像分析を行なうことにしました。これは、 Alberto Ibañez さんの、 SENSOR TILT ADJUSTMENT という次のサイトを参考にしています。      https://aiastro.wordpress.com/2019/01/24/sensor-tilt-adjustment/ Bahtinov Grabber によるピント位置の検出 まず、バーティノフマスクの画像を分析する、Bahtinov Grabberというソフトが必要になります。これは画像を分析して ピント位置がどちら側にどの程度ずれているのかを検出し、オートファーカサーを動

レーザーポインターによるセンサー傾き補正

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前回うまくいったように見えた、傾き補正による星像の改善は、その後再現しませんでした。子午線反転したり、フランジバックを変更するためにアダプターを付け直したりすると、うまくいかなくなります(この時点で、カメラのセンサー傾きだけが原因ではないと気づいても良かったはずですが・・・)。 AliExpress に注文してあるレーザーコリメーターがなかなか届かないため、手元にあったレーザーポインターを使って、よっちゃんさんのビデオを参考に、「なんちゃって補正」をしてみました。 押し入れの天袋からレーザー照射 賃貸マンションで工事ができませんから、レーザーポインターは押入れの天袋に入れ、その前にA4用紙を置き、中央に開けた穴からレーザーがセンサーに届き、それが穴の周囲の A4 用紙に反射されるようにしました。 ビデオを見て、左下のかすかな反射光がセンサーのものと判断できました。それをできるだけ入射光の穴に近づけておき、今度はカ メラにかぶせた 鏡に反射させます。完全には一致しませんが、これでほぼ良しとします。 センサーの傾きはわずか カメラにスケアリング調整アダプターだけを付けた状態では、傾きはわずかであり、 0.04 mm程度のスペーサーでほぼ調整できました。しかし、これで撮影した画像は大きく傾いていました。 フィルターホイールとアダプターを付けて補正 これで数日試行錯誤したのですが、らちが明かないため、次のようにカメラに EFW と EOS アダプターを付けた状態で補正してみました。そうすると、 0.28mm のシムリングから切り取ったスペーサーを2つ差し込んで、ようやくセンサーと鏡の反射光がほぼ一致しました。結局、 EFW や EOS アダプターもしくはその接合部で、傾きのほとんどが生じていたようです。 この結果はなぜか、前回スケアリングアダプターだけをカメラに接続して試行錯誤した、 0.2mm のシムプレートの位置と良く似ています。これはなぜなのか良く分かりません。鏡筒との接続部分で、同じような傾きが生まれていたのかもしれません。 そうすると、これまでうまくいっていたときは、 EF