投稿

11月, 2022の投稿を表示しています

カリフォルニア星雲のSHO風処理とR画像の問題

イメージ
引き続き FRA400 レデューサーで撮影をしています。バックフォーカスで頭を悩ませていましたが、どうも周辺像が悪化するのは R 画像だけであることが分かりました。また RGB を分離して、位置合わせとインテグレーションをするとかなり改善されることも、再確認できました。 これまでバックフォーカスの調整のために撮影したカリフォルニア星雲を、前々回ご紹介した、 HOO 画像を簡単に SHO 風に変換する次の YouTube を参考にして処理してみました。 https://www.youtube.com/watch?v=Qb0jXcCq8nU 撮影時間: 2022 年 11 月 8 日 ~11 月 25 日の 5 日間で 120 秒 X209 枚 : 418 分 撮影地:東京都足立区 撮影機材:望遠鏡: Askar FRA 400 + 0.7 倍レデューサー カメラ: ZWO ASI 533 MC Pro -10℃冷却 赤道儀: ZWO AM5 オートガイダー: ZWO 30F4 ミニスコープ + ASI 290MM mini フィルター: IDAS NBZ オートフォーカサー: ZWO EAF 撮影 PC : MeLe Quieter 3Q ( Windows 11 ) + Fire HD 8 ( TeamViewer ) 撮影ソフト: N.I.N.A. + PHD2 PixInsight の SPCC を使用 新しいカラーキャリブレーション機能である Spectrophotometric Color Calibration ( SPCC )を使ってみました。まず GAIA DR3/SP データをダウンロードし、それを使って次の標準の設定でキャリブレーションを行いました。従来の PCC より処理速度が速く、あっという間に終わります。 なお、SPCCは画像に位置情報が含まれている必要があり、クロップした画像を直接処理できません。Solverスクリプトを使って位置情報を付加する必要があります。しかし、新しいWBPPには、位置情報を保持したまま自動的にクロップするオプションが追加されました。これを有効にしておけば、WBPPのアウトプットに対してDBEで背景を均一にし、そのままSPCCに移ることができます。便利なものです。 この SP

撮影用ミニPCを交換

イメージ
露除けヒーターを付けたことや、気温が下がったことなどが影響しているためか、バッテリーの持ちが悪くなりましたので、以前から考えていた、低消費電力のミニ PC に交換しました。また、これまでミニ PC を赤道儀にベルクロテープで付けていましたが、これをなんとかスマートに赤道儀や鏡筒に取り付けたいと思ったことも交換の理由です。これまでの Beelink U59は結構大きく、鏡筒へ取り付けるのは無理がありました。 Beelink U59と、新しく購入した MeLe Quieter 3Q (メモリ: 8GB ・ SSD:128GB で、 Amazon で 2,6000円 程度)の消費電力をネットで調べると、アイドル状態でおよそ 7 ワットから 4 ワット、動作状態でおよそ 20 ワットから 8 ワットと半減していますが、 CPU は Beelink U59 が N5095 、 MeLe Quieter 3Q が N5105 で、速度はほとんど変わらないようです。実際、 MeLe Quieter3QでPixInsightがきびきび動きます。 PC を鏡筒に取り付ける MeLe Quieter 3Q に付いていた VESA 金具を使って、 MORE BLUE の FG304 ファインダー脚座(1,500円)になんとか取り付けることができました。これで、 Askar FRA400 鏡筒に付けたマルチコネクションプレートに、ミニ PC を設置できました(もちろん標準のVixenファインダー台座でもOKですが、そちらにはガイド鏡を付けています)。赤道儀周りがすっきりし、配線も短くて済むようになりました。 なお、ノート PC と違って USB3.0 ポートが四つありますので、データ保存用 USB メモリを付けても、ハブを使う必要がなく接続エラーを起こさないことも、ミニPCの利点と言えるかもしれません。 新しい PC への移行手順メモ プログラムとデータの移行は、前回のノート PC からミニ PC への 移行で経験していましたので、基本的にはスムーズにいきましたが、細かいトラブルもありましたので、備忘録として手続きをまとめておきます。私なりの設定ですので、あまり参考に

FRA400レデューサーのアンドロメダ銀河

イメージ
レデューサーを使って、初めて撮ったアンドロメダ銀河( M31) を処理してみました。画角はちょうどよくなっていると思います。Comet BPフィルターで銀河はしっかり写っていると思いますが、星の色が十分に出ていないような気がします。次に銀河を撮るときは、LPS D1かIR/UVカットフィルターにしてみようと思います。 ・撮影時間: 2022 年 10 月 26 日 ~11 月 6 日                     120 秒 X238 枚 + 60 秒 X45 枚 + 30 秒 X42 枚の合計 587 分 ・ 撮影地:東京都足立区 ・ 撮影機材:望遠鏡: Askar FRA 400 + 0.7 倍レデューサー ・ カメラ: ZWO ASI 533 MC Pro ー10℃ ・ 赤道儀: ZWO AM5 ・ オートガイダー: ZWO 30F4 ミニスコープ + ASI 290MM mini ・ フィルター:サイトロン Comet BP ・ オートフォーカサー: ZWO EAF ・ 撮影 PC : Beelink U59 ミニ PC ( Windows 11 ) + Fire HD 8 ( TeamViewer ) ・ 撮影ソフト: N.I.N.A. + PHD2 レデューサー後のバックフォーカス 前回の投稿で書きましたが、 Comet BP フィルターとセンサー保護ガラスの厚さの合計は 3.5mm ですので、バックフォーカスは 55mm + 35.mm / 3 = 56.17mm となるはずですが、実際にはそれより大きい 56.5mmが最も良いことがわかりました 。          バックフォーカス     画像の周辺部の偏芯度                    57.0mm                 0.55                    56.5mm                 0.40                    56.2mm                 0.60 特に 56.2mm では、周辺の星像が放射状になり、明らかにバックフォーカスが短いことを示していました。 画像の周辺部のにじみ 10月30日から、次のように画像の周辺部の星像が、多かれ少なかれにじむようになりました。

FRA400レデューサーの色収差はRGB分解で改善

イメージ
Askar FRA の 0.7 倍レデューサーを付けて、 M31 を撮影してみました。バックフォーカスは 55mm ですが、撮影に使った Comet BP フィルターと、 ASI 533MC のセンサー保護ガラスの厚さがそれぞれ 2mmなので (と思いこんでいたので)、その 1/3 に近い 1.5mm のスペーサーを加え、 56.5mm にしました。   120秒 x30 枚(合計 1 時間)の画像をインテグレーションして、簡単に背景ムラを取り、ストレッチしただけの画像です。 バックフォーカスの問題はないと思われる これまでさんざん悩まされてきた、周辺部の星が楕円になる現象は起きていないようです。星の偏芯度はほぼ満足できるものになっています。偏芯度図の周辺部が 0.4 ですので、人間が円に見えなくなる限界の 0.42 を下回っています。 後で調べたところ、 Comet BP フィルターの厚さは 1.5mmでした。 センサー保護ガラスの厚さは 2mm で合計 3.5mm、 したがってバックフォーカスは 55mm + 3.5/3mm  =  55mm + 1.17mm = 56.17mm で良かったはずです。これからバックフォーカスを変えて、偏芯度を調べてみようと思いますが、 FRA400 のレデューサーの許容値が大きいのかもしれません。 周辺の色収差が大きい しかし、色収差は目に見えて大きくなりました。最初の画像の周辺部を拡大してみると、青が中心部、赤が外縁部に寄っています。   これでも分かりにくいので、左上を 11 倍に拡大したのが次の画像です。色収差がはっきりわかります。 インテグレーション画像を RGB 分解 そこで、インテグレーションした画像を RGB 分解し、歪み補正をする位置合わせを行い、再度 RGB 合成してみました。 もしかしたら少し良くなっているのかもしれないという程度で、ほとんど変化がありません。また、このやり方は位置合わせをやり直すために、画像の品質に悪い影響を与えるはずです。 RGB 別にインテグレーション 次は、ディベイヤーで RGB に分解、それぞれを位置合わせして、インテグレーションし、最後に RGB 合成するという方法を試してみました。 これは面倒そうですが、 PixInsight