FRA400レデューサーの色収差はRGB分解で改善

Askar FRA0.7倍レデューサーを付けて、M31を撮影してみました。バックフォーカスは55mmですが、撮影に使ったComet BPフィルターと、ASI 533MCのセンサー保護ガラスの厚さがそれぞれ2mmなので(と思いこんでいたので)、その1/3に近い1.5mmのスペーサーを加え、56.5mmにしました。 


120秒x30枚(合計1時間)の画像をインテグレーションして、簡単に背景ムラを取り、ストレッチしただけの画像です。

バックフォーカスの問題はないと思われる

これまでさんざん悩まされてきた、周辺部の星が楕円になる現象は起きていないようです。星の偏芯度はほぼ満足できるものになっています。偏芯度図の周辺部が0.4ですので、人間が円に見えなくなる限界の0.42を下回っています。

後で調べたところ、Comet BPフィルターの厚さは1.5mmでした。センサー保護ガラスの厚さは2mmで合計3.5mm、したがってバックフォーカスは55mm + 3.5/3mm = 55mm + 1.17mm = 56.17mmで良かったはずです。これからバックフォーカスを変えて、偏芯度を調べてみようと思いますが、FRA400のレデューサーの許容値が大きいのかもしれません。

周辺の色収差が大きい

しかし、色収差は目に見えて大きくなりました。最初の画像の周辺部を拡大してみると、青が中心部、赤が外縁部に寄っています。 

これでも分かりにくいので、左上を11倍に拡大したのが次の画像です。色収差がはっきりわかります。

インテグレーション画像をRGB分解

そこで、インテグレーションした画像をRGB分解し、歪み補正をする位置合わせを行い、再度RGB合成してみました。

もしかしたら少し良くなっているのかもしれないという程度で、ほとんど変化がありません。また、このやり方は位置合わせをやり直すために、画像の品質に悪い影響を与えるはずです。

RGB別にインテグレーション

次は、ディベイヤーでRGBに分解、それぞれを位置合わせして、インテグレーションし、最後にRGB合成するという方法を試してみました。

これは面倒そうですが、PixInsightWBPPにはこの機能が備えられていて、自動的に実行できることができました。次のWBPPのダイアログボックスの右上で、Channels configurationSeparate RGBにし、その下のRecombined RGBをチェックしておきます。

これを実行すると、次のようなマスターファイルが作られます。RGBそれぞれのマスターと、それを最後に合成したRGBファイル(次の一番下)です。

まだ色収差は残っていますが、前の2つと比べるとかなり改善されていることがわかります。

3つを比べてみます。左が何もしないもの、中央がインテグレーション後にRGB分解したもの、右がRGB別にインテグレーションしたものです。

これが11倍に拡大したものであることを考えると、右はほとんど色収差が分からない程度であるといえます。

これから

RGB分解してから、それぞれ別にレジストレーション(位置合わせ)とインテグレーション(コンポジット)を行う方法が、色収差の補正に効果的であることがわかりました。WBPPを使えば、面倒なことはありませんので、今後はレデューサーを使わない撮影でも、これを標準の画像処理方法にしようと思います。

これまではディベイヤー後のファイルを保存していましたが、これではRGB分解ができませんので、これからは撮影後のFITSファイルをそのまま保存しておこうと思います。これですと、ファイルサイズがわずか17MBと、ディベイヤー後のファイルサイズの6分の1になりますので、保存も楽になります。

複数のフィルターを頻繁に替えることになりそうですので、ZWOのフィルタードロワー(光路長21mm)を購入しました。Comet BP以外にもLPS D1や赤外線カットフィルターなどを試してみて、都内からの銀河撮影に何が効果的か調べてみようと思います。

コメント