カラーカメラの画像をモノクロ画像に組み込む
Askar FRA400の星像が改善したので、AZ-GTi赤道儀に載せて撮影をはじめました。FRA400とZWO ASI 533MCの組み合わせに、オートフォーカサーを付けて重くなったためか、極軸合わせにさらに苦労するようになり、オートガイドも乱れるようになって歩留まりがいっそう悪くなりました。これについては、別に考察しようと思います。
タカハシe-130Dで撮ったZWO ASI 183MMのモノクロ画像と、この533MCのカラー画像を何とか組み合わせて、RGBを補強しようといろいろと試しました。
モノクロのRにHaを組み込む
撮影したのは、おおいぬ座トールのかぶと (NGC2359)です。HaからRの成分を取り除いてRに組み込むやり方は、前回のとおりです。左が元のR、右がHaを組み込んだ新しいRです。効果は歴然だと思います。
なお今回は、なぜかOIIIにはあまり情報がないような気がして、GとBへの組み込みは行いませんでした。
533MC(OSC)RGBとモノクロRGBを合成する
OSCの撮影時間が210分、モノクロRGBが150分ですので、それに近い6:4の割合で、合成してみました。左がOSC、中央がモノクロRGB、右がPixelMathで合成したものです。なお、いずれも背景ムラを取り除き、カラーキャリブレーションを行い、背景の明るさをそろえています。
ちょっと分かりにくいのですが、OSCに比べてノイズが減り、モノクロRGBに比べて彩度が上がっていますので、OSC画像を追加することは効果があると考えられます。なお、星の大きさを比較すると、OSCの平均FWHMが4.98、モノクロRGBが4.75、合成RGBが4.91と、当然ですがOSCとモノクロRGBの中間の値になっています。
ノイズ低減はストレッチしてからTGVDを使う
最も優秀だとされているMureDenoiseは、ストレッチするとかえってノイズがひどくなることを以前のブログで書きました。光害地のノイズがひどい画像に対してはうまくいかないのではないかと考えています。そのため、通常はリニア段階でMultiscaleLinearTransformを使っていましたが、今回はストレッチ後にTGVDenoiseを使ってみました。TGVDenoiseは背景の平均偏差の値を、Edge Protectionの値にするなどちょっと面倒ですが、効果はてきめんのようです。次は左が標準的なMultiscaleLinearTransform、右がTGVDenoiseを適用したものです。
OSC画像を含めてL画像にする
これまではすべてのモノクロ画像(Ha, OIII, R, G, B)をそのまま合成して作っていました。今回はそれに加えてOSCをRGB分解したものを、さらに追加してみました。
しかし、これですとあまりに星がうるさくなります。FWHMは5.19です。ノイズも多くなります。これを使ったLRGBは次のようになります。
これは、星を小さくするEZ Star Reductionプロセスを適用した後ですが、効果は限定的なようです。
ナローバンドをL画像にする
そのため今回は、HaとOIIIだけをL画像として使うことにしました。これですと、星の平均FWHMは0.465と小さくなります。
これでLRGBを作り、さらに星雲をStarXTerminatorで取り出して強調したものが次の画像です(青を強調しすぎているかもしれませんが・・・)。Star Reductionをやらなくとも、十分に星が小さくなります。
OSC画像追加の効果
183MMの画像(Ha:144分、OIII:135分、R:70分、G:58分、B:22分)だけで何とか強調して作った、左を北にしてクロップした画像です。無理にやっていますので、背景が黒く、彩度も落とさざるを得ませんでした。なお、このときもL画像はHaとOIIIだけから作っています。
次は、533MCの画像(210分)を加えて作った先ほどの画像を、同じ大きさにしたものです。彩度が上げられ、背景もより自然になっているような気がします。
これから
このやり方は何とかうまくいきそうです。これからの課題は、ベランダでの2台撮影体制で、短い撮影時間をいかに有効利用するかにかになってきます。しかし、AZ-GTiの極軸合わせに時間が掛かることと、ガイドの歩留まりの悪さがネックになりそうです。
そのため、AZ EQ5 GTをFRA400の赤道儀にし、e-130DはZWO AM5で動かそうと考えています。老人には軽くて正確なガイドが行える赤道儀がぴったりですし、狭いベランダでは、長いカウンターシャフトが邪魔になりますので、その点でも理想的です。
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