赤道儀の話 ポラリエからEQM-35 Proまで
最初は、ミードのETX125の自動導入経緯台でしたが、ほとんど使いこなせずに、7年ほど放置して売却したことは、以前書いたとおりです。そこで初心に返ろうと、基礎から始めることし、2017年8月にポラリエを購入。
Vixen ポラリエ
同時に望遠鏡をBorg 55FLにし、さらに微妙に鏡筒を動かすために、微動雲台のBorg 片持ちフォーク式赤道儀【3101】を付けました。これはよくできていたのですが、重みでポラリエの回転軸が滑るようになりました。そのため、テレスコ工房の雲台ベース、シャフト、ウェイトを購入。同時に極軸望遠鏡や(最初はルーフバルコニー付きのマンションでしたの北が見えました)、ポーラーメーターなどを追加しました。全部で10万円ほどになったのではないでしょうか。
(2018年8月・ヤフオク売却時のもの)
ポーラーメーターでおおよそ北に合わせれば、6秒ほど撮影でき、ステライメージでコンポジットできるようになったことは、すでに書いたとおりです。1年ほど週に1~2回程度撮影し、少し自信が付いてきたので、Borg 71FLへのグレードアップを図り、同時に赤道儀も少し大型のものにすることにしました(この時点では、自動導入赤道儀を使いこなす自信はなく、ポタ赤から選ぶことに)。
iOptron SkyGuider Pro
価格の安さで、SkyGuider
Proにしました。日本のサイトに使用例が少なく不安でしたが、唯一といってもよい「ポータブル赤道儀遍歴とレヴュー」サイトに背中を押されました。直輸入(B&Hから)が安いとのことで調べると、確かにシャフトもウェイトも極軸望遠鏡も三脚もついて500ドルもしないのです。輸送費も入れても6万円程度(後で関税が掛かることが分かるのですが、それを入れても7万円以下)でした。日本の赤道儀は、性能は良いのだろうとは思いますが、初心者には高すぎるのではないでしょうか。
オートガイダーの導入
いろいろなサイトを見ますと、どの天体写真も露出時間が数分と長く、それはオートガイダーのためだと分かりました。当初は自動導入のできる赤道儀専用のものだと思っていたのですが、同じ横浜で撮影しておられるDeep Sky Memoriesのid:rnaさんの「オートガイダー導入記 (1): スカイメモSにオートガイダーってアリですか?」が目に止まりました。詳しい解説を読むうちに、一軸ガイドでも効果があることが分かりました。自分でもできそうだと思い、id:rnaさんと同じQHY CCD QHY5L-IIM+ミニ・ガイドスコープセットを購入しました。
PHD2のドリフトアライメントを練習し、北の見えないベランダのポタ赤でも120秒まで露出時間を延ばし、トータルで1時間の露光が可能になりました。
画像処理はお粗末ですが、キャノンの改造カメラとフィルターで赤い星雲も多少は写るようになりました。
(燃える木と馬頭星雲、2019/2/6、横浜市神奈川区、Borg 71FL+マルチフラットナー1.08×DG、フィルター : Astronomik EOS Clip-Filter CLS、カメラ :
Canon EOS Kiss X5+SEO SP-4改造、120秒×24、赤道儀 : iOptron SkyGuider Pro、オートガイダー : QHY CCD QHY5L-IIM+ミニ・ガイドスコープセット、3分の1程度にクロップ)
しかし、ポタ赤では目的の天体を探すのが大変で、いつも試し撮りをしては、Astrometry.netに写真を送り、プレートソルビングをしてもらっていました。それでも、淡い天体を画面の中心に持ってくるのはほとんど不可能でした。
Skywatcher EQM-35 Pro
退職と、東京から横浜への引っ越しを機に、ようやく自動導入赤道儀の購入を決意。いつも参考にしているDeep Sky Memoriesのid:rnaさんは、ビクセンのSX2を選ばれたようですが、私には高いし、重いように思われました。そこで、SkywatcherのEQM-35 Proをウィンターセールで8万円ほどで購入。ベランダ撮影でパソコンを使うので、ハンドコントローラーは不要と、すぐにヤフオクで売却しましたので、実質7万円以下でした。
納入されたEQM-35 Proは、自動導入時とパーク時に赤経側のガリガリという音がひどく、修理に出しました(結局交換でした)。戻ったものを使っているうちに、今度は赤緯側がカリカリという大きな音が出るようになり、今度も修理・交換となりました。KYOEI大阪さんにはお世話になりました。3回目のものも、カリカリ音が時々出て「安物買いの」なんとやらかなと思いました。極軸望遠鏡のカバーなどゆるゆるです(これは購入前に認識していました)。
しかし、価格を考えればここらあたりで妥協すべきでしょう。さて、ハンドコントローラーの代わりにEQDIRケーブルが必要ですが、ネットでは自作の記事が多く、知識も技術もないものにとっては、とてもついていけません。海外のサイトを見ると、Lynx Astroケーブルの評判が良さそうなので、34ポンドで購入。
年を取ると忘れ物が多くなるので、赤道儀と三脚には、望遠鏡とパソコン以外のものは全て取り付けました。ケーブルは、100均の収納グッズを使ってまとめ、ACタップ、USBハブ、ゲームパッド、バーティノフマスクもくくりつけておきます。
これで、赤道儀から出ているのは電源とUSBのケーブルだけとなります。三脚は水平になるように、泡水準器を使い、昼間のうちに足の長さを調整しておきました(ベランダの勾配は、結構急なことが分かりました)。
この後、観測地の情報を入れ忘れて、鏡筒があさっての方を向いたり、EQMODでゲームパッドのボタンの設定をしているうちに、ファイルが壊れて赤道儀の動きがおかしくなったり(設定ファイルを別の場所からコピーする機能があることに気づいて元へ戻したら直りました)、撤退するときにうるさいのでパークしないでおいたら、翌日鏡筒が三脚にぶつかりそうになったり、ステラリウム・スコープが起動できなくなったりと、いろいろなトラブルがありました。その中で最大のものは、すでに書いたようにオートガイドのハンチングでした。バックラッシュが大きいということは分かっていますので、PHD2で赤緯側の積極性を落とすことで多少は改善されたこともありましたが、日によっては全く効果がないことも。
このあたりでだいぶ心が折れ、ヤフオクに安く出ていたAZ EQ5
GTへ乗り換えたらどうだろうかなどと考えました。しかし、思い直してEQM-35 Proのサイトを検索していたところ、eisukeさんのサイトを見つけ、どのように運用されているかをお尋ねしました。そうすると、1500mmで2分のノーガイドが可能とのことでした。ということは、極軸さえ合っていれば、きっちり動くということです。これがヒントになり、毎回方位のドリフト・アライメントを行うようになったことは、すでにお話ししたとおりです。eisukeさんありがとうございました。まだ、完璧ではありませんが、EQM-35 Proを使っていけそうだということが分かりました。この赤道儀の軽さは代えがたいものですし、赤緯のハンチングを防ぐだけであれば、いざとなったら赤緯ガイドをやめてもいいわけです。
これから
梅雨が始まりました。夏になって、天の川がはっきり見えるようになるのを楽しみにして、それまでは画像処理の練習をしようと思っています。
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