オートフラットとFlatAide



かぶりを取るためのフラット画像作成は、ステライメージ8(SI8)の「オートフラット」を使いました。ソフトビニングで画像縮小、スターシャープで星像の消去、ぼかしで星雲の拡散、画像サイズの復元の手順です。しかし、DeepSkyStackerDSS)のFITSファイルでは、(1) ぼかしを入れるたびに、左辺と上辺の画像が乱れる、(2) ぼかしを入れても星雲のあかるい部分はある程度残ったままという点が問題でした。


これでフラット補正をかけて処理をすると、トリミングをしなければならないのはもちろんですが、星雲部が暗くなってしまい、画像処理をしても次のような妙な色合いになりました。


DSSの設定


SI8のぼかしで周辺像が乱れるのは、DSSのコンポジットの設定が関係しているかもしれないと考え、さまざまな設定を試しました。Resultタブでは、Intersection ModeからStandard Modeへ、LightタブではMedianからAverageやその他のモードへ、また、No Background Calibrationの設定を色々と変更しました。


10種類の設定の組み合わせを試しても、結果はいずれも同じです。DSS側の設定はあきらめ、SI8側のオートフラットを見直すことにします。以前から名前を聞いていたFlatAideを試すことにします。

FlatAide


通常版では、コンポジットした画像は周辺をトリミングして、16ビットのTIFFファイルにするとのことです。最初はパラメーターが分からず、色々試しているうちに、星雲部分が明るくないフラットファイルが作れるようになりました。それで処理したのが次の画像です。


SI8のオートフラットを使うより、赤い色が自然に出ているような気がします。有料のPro版は32ビットのFITSファイルがそのまま読み書きできるとのことで、SI8との接続に面倒がありませんので、さっそく購入しました。すると、フラットファイル(シェーディング画像)を作るときに、面倒なパラメーターの設定は必要なく、次のように星雲の明るくなっている部分をクリックして行けばよいことが分かりました。これは便利です。また、画像をトリミングしなくても、周辺部が破綻することはありませんでした。DSSAutosave.fitがそのまま読めるので、これも面倒がなくて助かります。



さらに、飽和している部分のデジタル現像(対数現像というのもあるそうです)もできます。Proには他にもいろいろな機能があるようです(全然使いこなせていませんが)。


このフラット補正ファイルを使って、SI8で処理したのが次の画像です。一番自然な(何が自然か分かりませんが、検索して見つけた画像に近い)仕上がりになったような気がします。


コンポジットはDSSで、フラット作成やデジタル現像はFlatAideで、ということになると、SI8の役割はどうなるのでしょう。もしこれ以外の画像処理がGIMPなどで代替できるのであれば、SI8は使わなくなるかもしれません。

月齢13


昨日は見事な月明かりでしたが、晴れていましたのでM2022を撮影してみました。これまで1回の露光時間は3分でしたが、もしかしたらもっと少なくても良いのではないかと思い、2分にしてみました。いずれもFlatAide Proを使っています。

M20M212019/5/16、横浜市神奈川区、Borg 71FL+マルチフラットナー1.08×DG、フィルター : IDAS LPS-D1、カメラ : ZWO ASI 294MC Pro0度)、Gain : 120120秒×18=32分、赤道儀 : EQM-35 Pro、ディザリング : あり(RAのみ)、オートガイダー : QHY CCD QHY5L-IIM+ミニ・ガイドスコープセット、2分の1程度にクロップ)

青い部分はほとんど出ていませんが、この明るさでは仕方がないのでしょう。球状星団ならば、月の影響が少ないかもしれないと思い、M22を少し長めに撮影しました。


M22120秒×26=52分、これ以外の条件は上と同じ)

けっこう写るものだと思いました。ASI 294MCはもしかしたら、もっと短時間の露光でもいけるのではないかという気がしています。というのは、APT(AstroPhotography Tool)でプレートソルビングをしているとき、間違えて、露光時間を0.5秒のままにしていたのですが、それでもソルビングできていました(と思います)。昨日はすぐに5秒に直しましたが、考えてみれば短いほど、撮影にかかる時間を節約できます。

これから


EOS Kiss X5Astronomik CLSフィルターでは、APTのプレートソルビングにISO 320010秒は必要でした。それがASI 294MCだと、月明かりの下、Gain:120で、0.5秒で本当にできるのでしょうか(昨日のことですがどうも確証がありません)。少なくとも5秒でできることは間違いありません。今日晴れれば、どの程度まで短くできるか検証してみます。もしそうならば、IDAS LPS-D1程度の光害カットフィルターであれば、撮影時間も2分からさらに短くできるかもしれません。検証してみます。

※追記(2019/8/29)
PixInsightを使うようになり、ステライメージとFlatAide Proは使わなくなりました。


コメント

  1. こんにちは!まりりんです。技術的なことは全くわかりませんが、創意工夫なさっている様子を拝見しました。知らないことを自力で調べる面白さ!いいなあ。

    返信削除
  2. まりりんさん、申し訳ありませんでした。コメントの承認の仕方がわかっておらず、4年も経ってしまいました。知らないことを調べないまま、コメントは来ないものだと思っていました。恥ずかしい次第です。重ねてお詫びいたします。

    返信削除

コメントを投稿

コメントはこちら