PixInsightを使う
色の調整の仕方が分からなかった
撮影の機会がないので、画像処理を試していました。スターマスクや星雲マスクも簡単な使い方ならできるようになったのではと思います。しかし、色をどのように調整したらよいのかが分かりませんでした。
ステライメージ8の「オートストレッチ」は、どの段階で適用するかで色が大きく変わってしまうように感じていました。FladAide Proでカブリ補正をしても、色合いはだいぶ変わります。
そんなとき、写っている複数の恒星の色データベースを参照して、自動的に色合わせをしてくれるソフトがあるという説明に目がとまりました。それがPixInsightのPhotometricColorCalibration (PCC)でした。さっそく試してみることにしました。
ユニテックさんの説明サイト
ユニテックさんの「PixInsightで画像処理を始めよう」を参考にすることにしましたが、全体の目次がどこにあるか分からず、毎回目的のところに行くのが大変でした。同じように考えている人がいて、しっかりした目次を作ってくれていました。hoge-oさんの「ユニテックさんのPixInsight入門のもくじ」です(http://hoge-o.hatenadiary.jp/entry/2019/05/14/093549)。ここをブックマークしておけば一安心です。
コンポジット(Batch Preprocessing Script)まで
メールアドレスや住所を入力して、ユーザー名とパスワードが送られてきたら、45日間の試用期間のあるソフトをダウンロードしてアクティベートします。コンポジットは、Batch
Preprocessing Scriptというプロセスを使います。DeBayerのパターンをRGGBにしておくことくらいで、設定は簡単です。ただしOutput Directoryに大量のファイルが作られます。
色かぶり補正(DynamicBackgroundExtraction (DBE))
FlatAide
Proも簡単ですが、このDynamicBackgroundExtraction (DBE)も簡単です。サンプルをgenerateボタンで作り、CorrectionをSubtractionにするぐらいで、あっという間にできます。FladAide Proでは上面と左の側面の画像が乱れて、トリミングしなければなりませんでしたが、それもありません。
色合わせ(PhotometricColorCalibration (PCC))でファイルが見つからない
色あわせは、PhotometricColorCalibration
(PCC)を使います。これが一番欲しい機能です。しかし、ここでいろいろとすまずきました。最初は「ファイルが見つかりませんでした」というエラーメッセージが出ることです。ネットで調べてもよく分かりませんでしたが、以前にプレートソルビングソフトのAll Sky Plate Solverでも「ファイルにアクセスできない」というエラーが出たことがあります。そのときは、ノートパソコンでは動いたので特に不自由はなかったのですが、おそらくデスクトップのユーザー名が漢字だったからだろうと思っていました。そこで、ユーザーアカウントを追加して、ユーザー名を半角にすると、エラーは出なくなりました。
色合わせ(PCC)で奇妙な色になる
せっかく客観的な恒星の色を基準にして色あわせをしているはずなのに、青・紫・緑などの奇妙な色になってしまいます。たまにうまくいくこともあるので、どうにも困ったのですが、試行錯誤しているうちに分かってきました(海外のサイトも参考になりました)。
① ユニテックさんのサイトでは、Background Neutralizationはチェックしなくても良いとしていましたが、必ずチェックしてRegion of Interestの領域を指定しておきます。
② DeepSkyStackerでコンポジットしたファイルは使わないようにします。うまくいくこともそうでないこともあるようです。FlatAide Proの出力ファイルも同様です。最初からPixInsightで処理します。
③ Focal LengthとPixel Sizeを正確に指定します。あまりいい加減だと、プレートソルビングが失敗しますが、それがうまくいっても色あわせがだめなことがあるようです。
毎回フラット撮影を行わなかったため、撮影時のフラットがなくて、ゴミの痕が取れていませんが、うまくいくようになりました。
ストレッチ(ArcsinhStretch)から後処理
ユニテックさんのサイトで推奨されているArcsinhStretchでレベル調整をします。これがまだ慣れなくてどうもうまくいきません。これから勉強です。その後で、マスクを作って星像を小さくしたり、星雲の赤を強調したりと、手探りで試してみました。これまでの画像処理結果と比較してみます。① ステライメージ8(SI8)だけで、かなりいい加減に処理したM8です。
② FlatAide Proでカブリ補正をして、SI8で多少調整したものです。
③ 全てPixInsightで処理したものです。
単純な比較はできないのですが、PixInsightが一番色が合っていて、星像が小さくなっているような気がします。しかし、どうも赤を強調しすぎているようです。
以前に撮影したバラ星雲でも試してみました。前回のFlatAide Pro(FA)+SI8の処理と比較してみます。
① SI8でコンポジット+FAでカブリ補正+SI8で強調処理したバラ星雲
撮影は2019年2月2日(横浜市神奈川区)、EOS Kiss 8(SEO SP4改造)+IDAS LPS-D1フィルター+Borg 71FL(マルチフラットナー)の合計70分露光です。素人目ですが、後者の方が自然に仕上がっていると思います。説明サイトの「PixInsightこそ初心者向け」という意味が少し分かったような気がします。
これから
PixInsightは、DeepSkyStackerやFirstAide Proと組み合わせて、色合わせ(PCC)だけを使っていければと思っていたのですが、そうもいきませんでした。こうなったら、せっかく購入したSI8とFirstAide Proを捨ててでも、PixInsightを使っていこうと思います。幸い円が高くなって(ユーロが安くなって)いますので、230ユーロを払います。※追記(2019/8/31)
PixInsightでの星雲マスクの作り方がどうもよく分かりません。L画像から星マスクを引くと、星の穴が大きく開いてしまいます。StarNet++のようなきれいなマスクができません。蒼月城さんのPost processingのビデオでは、ちらっと出てくるのですが、作り方は説明されていません。
※追記(2019/9/1)
蒼月城さんに教えを請い、丁寧に教えていただきました。ありがとうございました。PixInsight版のStarNet++をダウンロードして、PixInsightのProcessとして登録できるのですね。ビデオでの説明もあります。これが一番簡単できれいなstarless画像の作成方法だと思います。
※追記(2019/9/13)
バックグラウンドのニュートラライズがうまくいかなかったのは、Background Neutralizationのupper limitが0.1になっていたせいでした(初歩的なミスですね)。これを1にするとどんな場合でもうまくいきます。ただし、コンポジットの結果はDSSよりもPixInsightの方が(時間はかかりますが)星像がきれいですので、この方針でいきます。また、Focal LengthやPixel Sizeなどは「Acquire from Image」ボタンで取得できました。
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