ナローバンドに挑戦・NGC2467どくろ星雲


これまでは、鏡筒をBorg 71FLからBorg 107FLにアップグレードするのを第一候補にしていました。しかし、それによって得られる効果が投資に見合うかどうかの確信が持てませんでした。また、その都度対物レンズを交換するのも面倒ではないかと考えるようになりました。

一方で、かもめ星雲などは、71FLとフラットナーでは入り切らず、もっと短い焦点距離の鏡筒が必要でした。カメラをフォーサーズの294MCからCanonAPS-C一眼レフに代えたり、カメラレンズやBorgのレデューサー【7885】を試したりしましたが、どれもしっくりきませんでした。

そこで鏡筒はこのままにし、カメラをモノクロにしてナローバンド撮影をしたほうが、同じ投資であれば得られる効果が大きいという結論になりました。ナローバンドは光害地での撮影に有利ですし、ベランダ撮影であればこまめに撮りためて時間を稼ぐことが可能です。そのため、次のカメラとフィルターを購入しました。センサーが1インチと小さいので、今の赤道儀(EQM35 Pro)で対応できるか、また、ピクセルサイズが小さく暗いので、ピント合わせやプレートソルブが可能かどうか、心配ではありました。
ZWO ASI 183MM Pro
ZWO EFW Mini
ZWOナローバンド7nm31mmフィルターセット(Hα/SII/OIII
ZWO EOS-EFマウントアダプターII

短焦点の鏡筒は、William OpticsRedcat 51を考えていましたが、海外のサイトを見るとコマ収差が出るとの記事もあり、ためらっていました。そこにちょうどオークションでBorg 71FLとレデューサー【7872】のセットが出ており、こちらにしました。ベランダでのテストでは、周辺減光や収差も少なく、満足できました。ピント合わせがヘリコイドですので、全体に軽量です。暖かくなったら、これとAZ-GTiとのセットで外へ出ようと思います(71FL+フラットナーでも、ドリフトアラインメントによる極軸合わせでも、5分の撮影は十分可能でした)。

このレデューサーだけの購入も考えましたが、フラットナーの鏡筒では長すぎてそのまま使えず、結局補正レンズと一緒に鏡筒の差し替えもしなければならないのです。これでは面倒ですので、この案は却下となりました。

NGC2467どくろ星雲

この時期で、ベランダから撮影できそうな、東南から南に見える星雲は多くはありません。かなり緯度の低いところに、とも座のNGC2467Skull and Crossbones nebula)がありました。「どくろ星雲」とも呼ばれるようです。肉眼では星は一つも見えず、横浜中心部からの光で全体に白っぽくなっており、294MCではすぐに飽和していた、撮影は無理だと思っていた場所です。ここで試してみることにしました。

確かに、プレートソルブをするには、露光時間を多くする必要がありました。294MC+Quad BPフィルターですと2秒もあれば十分でしたが、Haでは5秒ほど、SIIでは10秒近く必要になりました。しかし一眼レフカメラでも10秒は必要でしたので、それほど面倒ではありません。なんとかなるものです。次のように撮影しました。
Ha: 5分X16=80分(222日)
OIII : 5分X13=65分(223日)
SII : 5分X14=70分(223日)

この数倍は撮りたかったのですが、とりあえずテストをするにはなんとかなるでしょう。PixInsightによるナローバンドの合成方法は、次のサイトを参考にしました。
https://www.lightvortexastronomy.com/tutorial-narrowband-hubble-palette.html

まずはそれぞれの波長の、キャリブレーションとインテグレーションをし、背景の均一化、ノイズ削減、ストレッチまでしてしまいます。次がストレッチ後のHaOIIISIIの画像です。





これらをアラインメントし、明るさを整え、SHOパレット(R:SIIG:
HaB:OIII)で合成すると次のようになります。

Haが強いので、緑の画像になります。この緑を赤と青に換えると、次のようなほぼ最終画像なります。

かなりの光害地で(Bortleclass8-9)、しかも低緯度の天体が、小口径の望遠鏡でそれほど時間を掛けなくても、入門用の赤道儀でも、結構写ることが分かりました。星像もそれほど肥大していないようですので、特に処理をしませんでした。

71FL+レデューサーによるM46・M47

昨日(24日)は曇り空で、はっきり見える星はシリウスだけでしたが、購入した71FLとレデューサーのセットを試してみました。同じとも座の、M46とM47星団です。雲で霞んでいるものを含めましたので、露光時間は70分取れました。


これから

ナローバンドの撮影には、最低でも10分の露光時間が必要だという話を聞いていましたし、カメラのピクセルサイズが小さいので、小口径のそれほど明るくない望遠鏡では撮影が難しいかもしれないと、内心ビクビクしていました。しかし実際にやってみると、入門用の安い機器でも、私のような素人であれば十分楽しめることが分かりました。

これからは、撮影時間を伸ばし、どこまで高品位な画像が得られるかを探っていきたいと思います。同時に、AZ-GTiとワンショットカラーカメラ(294MC)を持って外へ出て、ベランダからでは撮影できない天体を撮っていこうと考えています。

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