ひょうたん星雲が写らない・AZ-EQ5 GTの印象


M46のすぐ左に、ひょうたん星雲(Calabash Nebula)があることに気づきました。硫黄を含んでいて「腐った卵星雲」とも呼ばれているとのことです。ナローバンドであれば、硫黄成分が写るのではないかと期待しました。

ステラリウムの画像

サイトで検索すると、ハッブル宇宙望遠鏡のきれいな画像が見えます。ステラリウムでも結構大きく表示されています。



ナローバンド撮影

10時半ころにはベランダの仕切壁に引っかかるため、それほど多くの時間が掛けられません。2日間でHa95分、OIII80分、SII45分です。

Astrometry.netでプレートソルブしてみました。わかりにくいのですが中央にM46NGC 2437)、少し上に惑星状星雲のNGC2438が見えます。しかし、ひょうたん星雲は表示されません。

ステラリウムと同じ大きさに、ナローバンド画像を拡大してみます。

もう少し強調した画像で、ひょうたん星雲だと思われる場所に矢印を付けてみます。

どうしても恒星にしか見えません。SIIの画像を見ても、同じでした。

SIIがわずか45分しかないのでだめなのか、それともそもそも、Borg 71FL程度の小口径望遠鏡では無理なのでしょうか。


AZ-EQ5 GTの感触

SkywatcherAZ-EQ35M ProからAZ-EQ5 GTにアップグレードして、3回ほど撮影できました。ASCOMドライバーは共通ですので、移行への障害は全くありませんでした。良い点と悪い点は次のとおりです。

① 良い点

・ベルトドライブのおかげで、導入の音が軽減された
 ベランダでの撮影では一番大きな利点です。撮影後に、ホームポジションに自動で戻せるようになりました。

・赤経のハンチングが起きなくなった
 多少極軸が合っていなくても、大きなハンチングは起きなくなりました。ドリフトアラインメントをしっかりすれば、オートガイドで苦労しなくなりました。

・赤経・赤緯のディザリングができる
 EQM-35 Proでは、赤緯をディザリングすると正常なガイドまでに長い時間が掛かるため、赤経のみ有効にしていましたが、AZ-EQ5 GTでは赤経・赤緯のディザリングが問題なくできるようになりました。

PHD2のキャリブレーションが正常終了する
 当たり前のようですが、EQM-35 Proでは終わらないこともありますし、赤経のバックラッシュが大きいという警告メッセージが、毎回出ていました。

② 悪い点
 軽量の赤道儀ですが、それでもEQM-35 Proからは3.5kg近く重くなりました。三脚を3kg軽くしたのが、完全に相殺されました。ベランダへの設置には多少気を遣います。

全体としては、撮影時の苦労の多くがなくなるか軽減され、コストパフォーマンスが高い製品だと分かりました。ただ、経緯台の機能は使わないので、もしHEQ 5 Proのベルトドライブバージョンが、日本でAZ-EQ5 GTより安く販売されていれば、それを選んだろうと思います。


※追記(2020/3/26)

PixInsightに対象の名前を表示させる機能があることが分かり、試しにティコ第二星表の恒星を表示させてみました。


そうすると、前回ひょうたん星雲だろうと思っていたものが、TYC5422-493-1という恒星であることがわかりました。結局ひょうたん星雲はまったく写っていないということでしょうか。それともこの恒星が最期を迎えて、惑星状星雲になったということでしょうか?

なお次は、前回のJPEG画像にDeNoise AIでノイズ削減処理をしたものです。

背景のノイズが消えるだけでなく、星像も締まるようです。これは、私のような素人愛好家にとって力強いツールになりそうです。

コメント