どくろ星雲の再処理
ナローバンド画像をPixInsightで処理するやり方をしっかり学ぼうと思ってネットで探したところ、Christopher FosterさんのMy PixInsight Work Flowが良さそうなことが分かりました。次のGoogle Driveサイトから、WordやPower Pointでダウンロードできます。
https://drive.google.com/drive/folders/13KTQc_wAS3IE-UC929AXVTrdXAj--t54
Wordファイルを読みやすいように編集すると、300ページにもなりますが、DeConvolutionやモザイク処理など、当面使わないと考えられるものを除いて、メモを取りながらなんとか読み終わりました。
前回のどくろ星雲は、ストレッチしたHa、OIII、SII画像をハッブルパレットでRGB合成し、SNCRプロセスで緑を減らし、赤と青に変えただけでした。
ライトフレームのキャリブレーションではバイアスを使わない
確認はできていませんが、ZWO ASIカメラでは、バイアスを使うとノイズパターンが出るとのことです。フラットのキャリブレーションでは、フラットダークだけを使うようにしました。ライト画像ではバイアスを未指定にすると警告がでますが、無視します。
マスターライトのノイズ処理にMUREDenoiseを使う
これまではMultiscaleLinearTransforでノイズを処理していましたが、ナローバンドでは、マスターフラット作成直後に、MUREDenoiseスクリプトを使うのが最も効果的なようです。カメラのゲイン、リードノイズ、オフセットの情報が必要になります。ゲインとリードノイズは、BasicCCDParametersスクリプトで調べることができます。
Ha画像の一部を2倍に拡大した、適用前(左)、MultiscaleLinearTransfor 適用後(中)とMUREDenoise 適用後(右)の画像です。確かに右端のMUREDenoiseが、最も効果的にノイズが取れています。またカメラの設定さえ入力すれば、パラメーターが少ないのも楽です。
背景を均一にするDynamicBackgroundExtraction(DBE)の使い方
DBEはだいぶ使えるようになったと思っていましたが、このマニュアルを読んでさらに理解が深まったように思います。次のような点が参考になりました。
① 修正方法は通常のかぶり補正用のsubtractionでなく、divisionでよい
② サンプルポイントに星が含まれないように慎重に調べる
③ 1回で背景が均一にならなければ、何回でも適用する(画像は劣化しない)
④ HaのDBEプロセスを作っておき、他のナローバンドにもそのまま使う
⑤ RGB合成後でも適用したほうがよい(今度はsubtractionでもよい)
輝度(Luminance)データを抽出しておく
ストレッチ後にハッブルパレットで合成する、という前回のやり方は間違っていたようです。リニア状態でRGB合成し、その後でストレッチします。
ストレッチ前のRGBデータから、輝度(L)データを作っておいて、RGBとは別にストレッチし、最後にRGBと合成して、LRGB画像にします。このLデータは、ナローバンド画像だけでなく、カラーカメラの画像でも作っておくとよいとのことです。これによって、RGBの輝度を上げるだけでなく、背景のノイズをかなり低減できることが分かりました。
ストレッチ前のRGBデータから、輝度(L)データを作っておいて、RGBとは別にストレッチし、最後にRGBと合成して、LRGB画像にします。このLデータは、ナローバンド画像だけでなく、カラーカメラの画像でも作っておくとよいとのことです。これによって、RGBの輝度を上げるだけでなく、背景のノイズをかなり低減できることが分かりました。
ScreenTrasferFunction(STF)のオートストレッチだけでよい
カラーカメラの画像は、ArcSinHStretchを使うことで、彩度を維持したまま明るくできました。ただ、最初にArcSinHStretchを使うと輝星の星像が不自然になる場合があるそうです。そのため、最初はSTFで弱くストレッチし、その後でArcSinHStretchを使うなど、いろいろなコツが必要なようです。
しかし、ナローバンドでは各色の情報が豊富なので、STFでオートストレッチして、HistogramTransformation経由で適用するだけで十分なようです。これは楽です。次がストレッチ直後の画像です。
SHO(SAO)のハッブルパレットですので、一番明るいHaが緑(G)に割り当てられていますから、星雲はほぼ緑色になっています。ここから、マスクを作って次のような色の調整をしていきます。
① 星のマゼンタを消す(この画像にはマゼンタはありません)
② 星雲の緑を茶色にする
③ 星雲の彩度と明度を上げる
前回は、緑を変換するのにSCNRというプロセスを使っていました。今回新しくインテグレーションした画像に、同じSNCRを使って作り直した最終画像が次のようになります。L画像を加えたLRGBにしていますので、前回に比べればメリハリの効いたものになっているような気がします。
しかしこのマニュアルでは、SCNRで一気に緑を消したり、変換したりせずに、CurvesTransformationで少しずつ変えていく方法を推奨しています。これがなかなか面倒で、どうもうまくいきません。一応色の調整が終わった画像が次のものになります。
変な色だと思いますが、これに輝度情報のL画像を結合した、最終的なLRGB画像です。
L画像のおかげで、輝度が増すだけでなく、背景のノイズがかなり軽減されていることが分かります。ちょっとやりすぎだとは思いますが・・・
これから
なんとか、ナローバンドの処理手順は頭では理解できたように思います。ただ、色の調整がどうもうまくいきません。撮影した画像は一つ(星雲でないのを含めれば二つ)だけですので、経験不足もいいところです。ベランダからではなかなか機会は多くありませんが、なんとか撮影対象を増やしていきたいと思います。
※追記(2020/4/24)
MUREDenoiseのゲインの値がいい加減でした。ユニティゲインの111に設定していましたので、e-/DNは1.009にすべきでした。
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