星を丸くする その1

 カメラを183MMに変更してから、星像が流れることに気づきました。原因をネットで調べていくと、ずいぶんたくさん候補が出てきました。

① カメラのピクセル角度が小さくなってガイドエラーが目立つようになった
         183MM71FLフラットナーでは、1.1秒角/ピクセルと小さい

② バックフォーカスが合っていない
         フィルターの分長くしなければならない

③ カメラと鏡筒の接続面が傾いている
         フィルターホイールの分カメラ側が重くなって狂いやすくなった

④ カメラとウェイトのバランスが合っていない
         東側を重くしなければならない

PHD2の極軸合わせがうまくいっていない
         かなり適当にドリフトアライメントをやっている

AZ-EQ5のバックラッシュが大きい
         ウェイトの先端やアリミゾの部分が確かにガタガタする

AZ-EQ5のピリオディックエラーが大きい
         PEC機能を使っていない

最初に抑えておくべきことを、これまでいかにおろそかにしていたかが良く分かりました。この一月ほどやってきたことを、覚書としてまとめておきます。長くなりそうですので、その1として①から④までを取り上げます。

① カメラのピクセル角度を大きくする

撮影時にビニングするか、ピクセルサイズの大きなカメラに替えるという手があります。確かにビニングすると、星像の流れは目立たなくなりますが、解像度は下がってしまいます。カメラを294MMに替えるという手もありますが、お金がかかります。いずれも対症療法であり、原因の究明を投げ出すことになりますので、やらないことにします。

なお、画像処理で星を丸くすることも可能なことが分かりました。PixInsightDeconvolutionMotion Blur PSFを使えば、かなり丸くなります。しかし、次のような、画像の位置によって角度が異なる場合は使えませんし、すっきりしないやり方です。

294MCを使っていたときにも、星像は丸くなかったのに目立たなかったということだと思います。いい機会ですので、できるだけ原因を探って問題をつぶしていきたいと思います。

② バックフォーカスを正確に調整する

ネット(Cloudy Nights)で調べると、バックフォーカスが短いと左のように、長いと右のように星像が流れとのこと。

         \ | /                               / ー \

           ・ ー                                ・ |

         / | \                               \ ー /

8月29日のM8Ha画像)は、左上が/、右上が\になっています。それ以外はやや横長になっていますので、③の傾きの問題と、⑦のRAのガイドエラーも同時に起きているようです。




バックフォーカスは、Borgのフラットナーでもレデューサーでも、カメラマウント キヤノンEOS用【5005】から44mmです。
         ZWO EOS-EFマウントアダプターIIEFW用 光路長 17.5mm
         ZWO 電動フィルターホイール 光路長 光路長 20mm
         ZWO ASI 183MM Pro フランジバック 6.5mm

これでちょうど44mmですが、フィルターの厚さが2mmですので、2mm/3の約0.7mmを追加する必要があり、カメラに付属のスペーサーで調整しました。

③ 接続面を平行にする

接続面の問題は、Borgのカメラマウント【5005】とZWOEOSマウントアダプターのがたつきが原因のようです(ただし、M57ヘリコイドDXII7761】を使っているレデューサーの71FLは、ヘリコイドにがたつきがあり、これも問題のようです)。そのため、次の手を打ってみました。

EOS-EFマウントアダプターIIの内側に、アルミシールを貼って密着させるようにしました。これは、確かに効果がありましたが、おかげで光路長が伸びたようです。

・それでもがたつきが出るように思えたので、Borgのカメラマウントに、「ネイチャーフォト・ステージ 秀」さんの、ボーグ強化Tマウント加工をしてもらいました。

手前と奥2箇所の合計3箇所に穴が空いており、イモネジが付いています。それを裏側からレンチで締めて固定させます。カメラとの接続はネジ式になります。しかし、イモネジの微妙な締め方で、かえって傾斜が生まれるようです。これは、ヘリコイドを使った71FLの、最終的なスケアリング調整用として使ってみようと思います。

・ネジ式でもそう不便がないことが分かりましたので、EOS-EFマウントアダプター以外の接続法を探ることにしました。Cloudy Nightsでは、Geoptik T2 adapterを使っている人がいました。

しかし、光路長が19mmと、ZWOのアダプターの17.5mmよりやや長くなっています。うまくいっている人はフィルターを2枚使って光路長を長くしているようです。202グラムと重いということもあり候補から外れました。

・もう一つは、同じCloudy Nightsで紹介されていた、PrecisePartshttps://www.preciseparts.com/ppmain//cgi-bin/adapter-ctrl)でオリジナルのアダプターを作ってもらうという方法です。Borgのカメラマウント(光路長10.8mm)とZWOアダプター(光路長 17.5mm)を置き換えますので、28.3mmのアダプターを作ってもらうことにしました。


輸送費を入れると\18,000位でした。11月中には届くようですので、これでがたつきの問題は解決するといいのですが。

④ カメラとウェイトのバランスが合っていない

いい加減にやっていたバランスを正確に合わせるようにしました。まずはDEC側ですが、鏡筒に比べてカメラ側が重くなっていました。フィルターホイール・カメラ・アダプターで1kgにもなります。ネジ式で接合するにも面倒です。

そのため、せっかく購入したZWO 電動フィルターホイール 8を、ZWO 電動フィルターホイールminiに変更しました。一度手放したものの買い直しです。これでバランスが取りやすく、扱いやすくなりました。

なお、フィルターは5個しか入りませんので、次のものに限定します。

         Ha, OIII, R, G, B

光害地ではLフィルターは使えないような気がします。L画像はHa(とOIII)で代用しようと思います。ナローバンドはHOOパレットになります。ナローバンドとRGBの合成は、PixInsightNRGBCombinationで比較的簡単にできますし(ディスコンになっていますが、ダウンロードできます)、L画像の作成はChristopher Fosterさんの、My PixInsight Workflowに詳しく説明されています。完全には理解できていませんし、それほどうまくはできませんが、なんとか作れる程度にはなりました。

RA側のバランスは、初心者の悲しさで、東側を重くすることは知りませんでした。いろいろ試してみましたが、これがかなり効果的で、RAのガイドエラーは、0.20.3RMS程度改善されたように思います。

これから

⑤~⑦をまとめていきます。

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