ソンブレロ銀河の処理

4月8日から21日までの間にこまめに撮影した、M104ソンブレロ銀河の画像を処理しました。PixInsightの使い方を学びながらですので、気づいた点をまとめておきます。


タカハシε-130D(焦点距離:430mm)ですが、センサーが1インチのASI 183MMですので、結構大きく写ります。ぼんやりしているのは、仕方ありませんが・・・

L102分、R109分、G54分、B54分です。他にHa105分撮影しましたが、ノイズが多くて使えませんでした。

複数のマスターの処理方法

連続して撮影した同じフィルターのサブフレームは、それぞれのフラット、フラットダーク、ダークでキャリブレーションしますが、その後インテグレーションして個別のマスターを作らないほうが良さそうです。Cloudy Nightsを読むと、次の三つの方法が使われていました。

① 全てのキャリブレーション済みサブフレームをまとめてインテグレーション
② 個別にマスターを作り(2個しかなければコピーして増やし)インテグレーション
③ 個別のマスターをPixelMathで、撮影時間に比例させて結合

どうも①の方法が、一番ノイズが少ない画像をインテグレーションできるようです。今回はこれを採用しました。そのため撮影するたびに、キャリブレーションして、SubframeSelectorで選別し、重み付けをしたファイルを保存しておきます。その後、それらをまとめてアラインメント、ローカルノーマライゼーション、インテグレーションと進めていきます。

MureDenoiseDBEでノイズが増える?

MureDenoise自身は強力にノイズを減らしてくれます。使えるのは、インテグレーションしてクロップした後までで、それ以上の画像処理、例えばDBEをする前でなければなりません。次はMureDenoiseを適用する前のL画像と、適用後のL画像です。


このMureDenoiseは、適用の強さを表すVariance Scale1.11と標準的な数値にしています。これだけだと素晴らしいノイズ削減ができているのですが、この画像にDBEで背景の均一化をすると、次のように盛大にノイズがでます。

Cloudy Nightsでは、Variance Scaleを下げれば良いとする人や、このストレッチ画像がSTFScreen Transfer Function)を使っているためであり、実際には問題はないとする人がいます。そのため次のようにVariance Scale0.6に下げてみました。

その結果、ノイズ削減の効果は弱くなりますが、DBEを実行してもそれほどノイズは現れませんでした。全てのマスターにこの方式を適用し、RGB結合とストレッチをすると次のようになります。結局ノイズが多く、満足した結果にはなりませんでした。


インテグレーションの前にローカルノーマライゼーション(LN)をしていることが、MureDenoiseに悪影響を与えているかもしれないと思い(Cloudy Nightsでそのように書いている人がいました)、LNをスキップしてみましたが結果は同じでした(光害地では、時間の経過によって明るさがかなり異なりますので、LNは必須の機能だと思っています)。

とうとうMureDenoiseをあきらめ、ストレッチ後に通常のMLT (MultiScaleLinearTransform)を使ったノイズ削減処理をすると、次のようにだいぶ改善されます。

L画像についても同様にMureDenoiseはせず、RGBIntegrationして作った「抽出L」もしくは「合成L」画像と結合して「スーパーL」画像を作り、RGBLRGBCombinationするという方式でやりました。LRGBCombinationは、コントラストを高め、背景のノイズを削減するのに絶大な効果がありますね。

これから

MureDenoiseがうまくいかないのは、もともとノイズの多い画像に適用しているからでしょうか?Deconvolutionも、以前のセンサーの294MC Proほど顕著な効果が出ないために、使っていません。このあたりもこれから調べてみる必要がありそうです。

光害地ではL画像はノイズまみれになるだろうと考えて、代わりにHaを使えないか試行してきましたが、勝手な思い込みでした。実際に撮影してみると、横浜市内でもL画像がしっかり使えることが分かりました。

 ※追記(2021/4/26)

背景が暗くて寂しいので、少し背景を明るめにし、星をシャープにして強調してみました。これでも暗いような気がしますが・・・
なお、輝星の光条が8つに割れているのは、鏡筒の回転位置を変更する前と後のデータが混在しているためです。

 ※追記(2021/4/27)

上の修正画像は、L画像を強調し過ぎました。これでは銀河がぼやけてしまいます。
やはりやり過ぎは良くないようです。Inside PixInsightを読み直し、インテグレーションしてすぐの全ての画像(Ha,L,R,G,B)を再インテグレーションしてL画像を作り直してみました。さらにそれほど効果は大きくないもののDeconvolutionを掛けました。多少締まった感じになったかもしれません。強調の仕方によって、次の2種類を作ってみました。

まだどうも加減が分かりません。RGBにもDeconvolutionを掛けるなど、さらに処理を探っていこうと思います。

※追記(2021/4/28)

輝星を見ると、ひどく色がずれています。光条がずれているためでした。これはこれで結構きれいなのですが・・・
同じ方向の光条画像だけを使ってやり直しです。総露出時間が減るのでノイズは多いですが、色ずれはなくなりました。鏡筒の回転位置を変えると以前のデータは一緒には扱えない、が教訓となりました。




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