ハッブル望遠鏡画像の処理
このところPixInsightのLRGBとナローバンドの処理について、YouTubeビデオを見て学習中です。その中にハッブル宇宙望遠鏡で撮影した画像処理を紹介しているものがありました。astrojourneyukというイギリス・バーミンガムで自宅の庭から撮影している人のサイトです。M51の画像処理について説明していました。
画像のダウンロード
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Site hereボタンを押し、M51を検索し、4種類のファイルをダウンロードします。
4つのファイルは、中央の波長(nm)で次のように別れており、それぞれLRGBに割り当てます。バンド幅は調べたのですがわかりませんでした。なお画像サイズが大きく、下のそれぞれの画像は1/18縮小です。
1:814(L)、2:658(R)、3:555(G)、4:435(B)
RGB結合はLinearFitしてから
astrojourneyukさんのビデオは簡易版のようで、リニア状態でいきなりLRGB結合をしていました。しかし、これまでに学んだことを活かすためにも、多少本格的に処理してみることにしました。ただ、背景を均一にするDBEも、ノイズ処理のMureDenoiseも、大気のゆらぎを修正するDeconvolutionも必要ないので、処理は非常に楽です。まずは、いきなりRGB結合してみました。
上の左の画像がいきなり結合したもので、色のバランスが崩れています。これはカラーキャリブレーションすれば修正できますが、この方法はノイズが増えるという、別のビデオを見ましたので、RGBをLinearFitで背景のレベルを整えることにしました。そうすると真ん中の画像のように、バランスが取れたものになります。それにさらにカラーキャリブレーションを施したものが、一番右の画像です。
この画像をストレッチするときに、いつもの通りHistgramTransformation(HT)とArchsinhStretchを組み合わせてやりましたが、まったくうまくいきません。HTだけで問題なくできます。ナローバンドはHTだけでうまくいきますので、元の画像のバンド幅がかなり狭いということでしょうか。
L画像は全てをインテグレーション
ビデオは簡易版の説明ですので、一番波長の長いものをLとして使っていました。通常のRGBですとHaをLにするということでしょうか。しかしこれまでの経験や、Cloudy Nightsの議論から、全てのマスターをインテグレーションしてL画像とする方法があることを知っていましたの、試してみました。
上の左は、814nmの画像、右は全ての画像をインテグレーションしたものです(5倍に強拡大しています)。やはり、右側の全ての画像の方が、SN比が高いように思えます。
次はこれまでに撮影した、カモメ星雲の画像を再処理しているときのものです。左が、RGBから取り出した抽出L画像、真ん中がその抽出L画像とHaをmax関数で結合したもの(このやり方もCloudy Nightsで見つけました)、右がR、G、B、Ha、OIIIの全てを単純にインテグレーションしたものです。
RGBだけのものより、Haを加えることで星像が締り、さらにOIIIを加えることで(当然ながら総撮影時間が長くなりますので)、SN比がさらに向上しています。RGBだけでなくナローバンドも必ず撮影し、それらをL画像として使うという方法が、特に光害地では有効なようです。
実はLフィルターの光害カブリを減らせるだろうと思い、オプトロンのL-Proフィルターに交換したのですが、これを使うべきかどうか悩むところです。
HDRMultiscaleTransformとLocalHistgramTransformationはL画像だけに
銀河のような画像では、飽和した部分を復元させるHDRMTと、その画像に対してコントラストを復元するLHTは必須のようです。いくつかのサイトでは、ストレッチしたRGBとL画像の両方にこれらを適用していました。しかし、どうもL画像だけで十分なようです。
左がRGBとLの両方にHDRMTとHTを適用、右はLだけに適用し、それぞれLRGB合成したものです。
どちらも同じように見えます。少なくともこのような鮮明な画像では、HDRMTとHTはL画像だけに適用すれば十分なような気がします。
次はストレッチしただけ(左)と、それにHDRMTとHTを掛けたL画像(右)です。効果は歴然です。
LRGB合成はノンリニアで効果的
どのようにL画像を作るにせよ、ノイズの少ないものであれば、LRGB合成することにより、RGBにかなり良い効果を与えることは間違いないようです。次は、左がRGB合成しただけ、真ん中はそれにHDRMTとHTを施したもの、右はLRGB画像です。やはりLRGBの効果は大きいようです。
次は、ビデオで紹介されていた、リニア状態でいきなりLRGB結合したもの(左)と、これまでに説明したノンリニアでLRGB結合したもの(右)です。左の画像は、この後でどのようにコントラストを高めてみたり、彩度を上げてみたりしても、右のようにはなりませんでした。L画像はRGBとは別にストレッチし、必要な強調処理をしてからRGBに結合するのがやはり良さそうです。
最終結果比較
一番左がRGB結合直後、真ん中がLRGB結合直後、一番右がさらに彩度を高めるなどの強調を施したものです。
LRGB合成しただけで十分なような気もします。強調の仕方はまだ加減がよくわかりません。
ノイズも歪みもない画像の処理は本当に楽ですね。光害地でも、時間さえ掛ければ少しでもノイズは減らすことができると思いますし。星像の歪みに関しては、解決の糸口が少し見えてきたような気がしますので、希望は捨てないようにしたいと思います。Hope is a good thing, maybe the best of things, and no good thing
ever dies(The Shawshank Redemption...から)ですね。
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