画像のドリフトはOAGで解消

前回ガイド鏡をGT-40にしてから、画像がドリフトするようになりました。GT40は鏡筒バンドに取り付けるため、バンドと鏡筒との間にゴムシートを入れてみましたが、結果は同じでした。ガイド鏡をZWOのミニスコープにし、鏡筒のファインダー台座に取り付けても結果は同じです。ドリフトは、鏡筒とバンドの間がずれるためだという仮説は崩れました。

他にも、三脚を赤道儀付属のものに変更したり、大きな泡水準器で赤道儀の水平をできるだけ正確に取ったり、ドリフトアラインメントを丁寧に行い、極軸合わせをできるだけ正確にしましたが、問題は解決しません。この2か月は、いろいろな実験に明け暮れました。


鏡筒とガイド鏡のたわみが原因

チルトアジャスターを組み込み、レーザー光を使った傾き補正が簡単にできるようになりましたが、これも問題解決にはなりませんでした。Cloudy Nightsなどのフォーラムでいろいろと調べていくうちに、ドリフトは鏡筒とガイド鏡の異なるたわみ(differential flexure)が原因で間違いないという確信を持つようになりました。そのため、ガイド鏡をやめてOAGへ移行することにしました。

ガイドカメラは120MMから、感度の良い290MMにしました。なんとかガイドまでできるようになりましたが、まだピントの調整があまいようです。

ドリフトはOAGで解決

OAGの効果は抜群で、ドリフトはほぼ解決しました。

しかしよく考えると、これまでにも大なり小なりドリフトが起こっていたのだと思います。そのために、星像の乱れの原因がはっきりと分からなくなっていたのだと思い至りました。

つぎは、ε-130Dコマコレクターの後ろに接続した機器と、その光路長です。
         M52-M48
アダプター        2mm
         OAG                               16.5mm
         M42
アダプタ                  2mm
         T2
延長筒                        10mm
         EFW                               20mm
         ASI 183MM                    6.5mm

これで57mmです。ε-130Dのバックフォーカスは56.2mmで、これに2mm厚フィルターフィルターの1/3である0.7mmを加えると、ほぼこの長さになります。しかし、これで撮影した画像の周辺、特に左下と右下に放射状のコマ収差が出ています。

周辺星像の乱れはバックフォーカスが合っていないせい

これまでは、このようなはっきりしたコマ収差は見えませんでした。たわみの影響を除くことで、画像の乱れの原因が明確になったと言えると思います

試しに、0.3mmのスペーサーを入れてみました。

だいぶ改善されましたが、まだ四隅の星像が放射状になっています。これは、まだバックフォーカスが短いことを示しています。なお、星像の乱れる場所が変わるのは、スペーサーを入れることで、鏡筒の傾斜の方向が変わるためだと思われます。

思いきって、スペーサーを1mmにしてみました。かなり改善されますが、特に右上がまだ放射状になっていることが分かります。これまでは、バックフォーカスの誤差は、理論値プラス・マイナス0.5mm程度であろうかと思っていましたが、どうももっと大きいようです。

これから

きのうはここで時間切れでしたので、さらにバックフォーカスを調整していこうと思います。

現状のOAGでは、メインカメラのバックフォーカスを変更すると、ガイドカメラのピントが合わなくなる点でが大きな問題です。そのため、ガイドカメラにも同じ厚さのスペーサーを入れる必要があります。290MMminiにして、ZWO 1.25"ヘリカルフォーカサーをつけた方が良かったかもと、やや後悔しています。ただ、一度バックフォーカスが合えば、ガイドカメラのバックフォーカスも固定できますので、問題はないかもしれません。

コメント