L-eXtremeとIDAS NBZの比較
Optolong L-eXtremeデュアルナローバンドフィルターの輝星ハロは、その星雲画像に対して処理をすることで、かなり効果的に除去できることを確認しました。しかし今回は輝星が1個だけでしたが、これが多くなるととても手に負えなくなりそうです。
そのため急遽、ハロが少ないという評判のIDAS
Nebula Booster NBZを購入して比較してみました。
NBZでは全くハロが出ない
L-eXtremeで8月19日に撮影した56分の画像と、8月31日にちょうど同じ時間だけ撮影したものを比較してみます。次の左がL-eXtreme 、右がNBZで、DBEで簡単に背景むらを取り除いてノイズ処理をしたものです。NBZの半値幅が12nmとL-eXtreme の7nmより広い分、光量が多くなりコントラストが高まっているように思われます。心配した、光害による目立った背景むらはないようです。
輝星付近を拡大すると、左のL-eXtremeにあるハロが、右のNBZでは全く見当たりません。全く同じ撮影時間ですが、NBZでは輝星が明るく大きくなっていますし、L-eXtremeにはない多くの微恒星が確認できます。
L-eXtremeとNBZの画像をインテグレーションする
ハロ処理をしていないL-eXtremeの画像と、後で撮影したNBZの画像とを、そのままインテグレーションしてみました。トータルで160分の画像です。まだ撮影時間は少ないものの、少しずつ星雲の構造が見えるようになってきたと感じます。
これから
IDAS NBZフィルターだけで良いのでは、という結論になりそうです。同じ明るさのLED光源で同じ条件でフラットを撮影すると、L-eXtremeでは0.45秒掛かりますが、NBZでは0.2秒で済みます。これは、NBZでは光量が2倍になると考えて良いのでしょうか。
ライト画像をPixInsightのStatisticsで比較すると、meanの値はRが1.25倍、GとBが1.5倍ほどになります。この値をどう理解すれば良いのか、これから勉強です。
いずれにしろ、都会からの目標撮影時間を1対象あたり20時間としていましたが、NBZを使えばもっと少なくしても良いのかもしれません。
※追記(2022/9/5)
画像の総光量は、ヒストグラムでおおよそ分かるのではと思い。インテグレーションしたばかりの画像で比較してみました。ストレッチのスクリプト、GeneralizedHyperbolicStretch (GHS)で、各色のピークの値が分かりますので、表示させてみました。左が56分のL-eXtreme、右が同じ時間のNBZです。
RGBそれぞれのピークの値を比較すると次のようになります。
|
L-eXtreme |
NBZ |
比率 |
R |
0.00179 |
0.00386 |
2.16倍 |
G |
0.00455 |
0.00899 |
1.98倍 |
B |
0.00241 |
0.00533 |
2.21倍 |
いずれの色も、約2倍の明るさである、従って光量は2倍であると考えてよいのではないでしょうか。
ちなみに、これらの画像にBackgroundNeautralization(BN)を施した画像のヒストグラムをGHSで表示させる、と次のようになります。
ピークは0.00085と0.00131であり、その比率は1.54倍となります。前の投稿でのStatisticsのmean値は、この状態の画像を比較したものでした。NB処理する前のmean値は、約2倍であることを確認しました。
撮影時点の光量が約2倍であることは、フラット撮影時間が半分で済んでいることと適合します。そうすると、L-eXtremeフィルターで目標としていた20時間の撮影時間は、10時間に短縮して良いことになりそうです。なお、FRA 400とL-eXtremeによる20時間の撮影は、イギリスの都会から撮影しているサイトhttps://urbanastrophotography.com/を参考にしています。
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